亡くなった方が遺言書を残した場合、遺言書に基づいて不動産の名義変更をし、相続登記をすることになります。
「遺言による相続登記ではどんな書類が必要?」
「相続関係説明図を作らなきゃいけないの?」
「遺言書が自筆証書遺言だけど大丈夫?」
「遺言による相続登記はしないといけない?対抗要件て何?」
「相続登記を自分でやろう」
と思っている方へ。
遺言による相続登記についてのお話です。
遺言による相続登記について
相続登記とは、不動産の名義を亡くなった方から、相続人に変更する手続きです。
法務局のコンピューターには、不動産の所有者情報が登録されているのですが、その情報を変更する手続きです。
所有者の方が亡くなっても、自動的に変更されるものではないので、相続人が法務局に相続登記の申請をして、変更手続きをする必要があります。
被相続人が遺言を残していた場合、原則として、その遺言の内容に従って相続財産が承継されます。
被相続人が遺言で、被相続人の不動産を特定の相続人に相続させる内容の遺言書を残していたとします。
この場合、被相続人の名義となっている不動産は、遺言書に基づき、指定された相続人への名義変更する登記をすることになります。
なお、遺言者の財産について、遺言により法定相続人ではない第三者へ遺贈をすることもできます。
これを遺贈の登記といいますが、相続登記とは、また申請方法が異なります。
詳細は
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遺言による相続登記で法務局に提出する申請書等の必要書類
遺言による相続登記において法務局に提出する書類は以下のとおりとなります。
法務局のホームページに申請書の様式があるので、そちらを利用して自身で作成します。
また、登記事項証明書を見ながら作成する必要があります。
登記事項証明書は法務局で取得できます。
登記事項証明書の取得方法は
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遺言書
公正証書遺言もしくは法務局保管の自筆証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所で検認手続きをとる必要があり、検認済み証明書も必要になります。
検認手続きについては
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被相続人の戸籍(除籍)謄本
被相続人から第一順位の相続人である子どもへの遺言の場合、
亡くなった事実がわかる親の戸籍でよいです。出生から死亡までの連続したものでなくてよいです。
第2順位である親(直系尊属)に相続させる場合、
先順位の相続人である子どもがいないことを証明する必要があるので、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。
第3順位の兄弟姉妹に相続させる場合、子どもがいないことを証明する必要があるので、連続した戸籍が必要になります。また、被相続人の親の亡くなっていることを確認できる戸籍が必要になります。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(登記記録の住所とつながりのつくもの)
保存期間の関係で取得できない、もしくは、取得できても、住所がつながらない場合は、権利証を添付します。
相続人の現在戸籍
被相続人の死亡日以降の日付のものが必要です。被相続人が亡くなった時点で、生存していることを確認する必要があるので。
相続人の住民票
住民票てす。特に注意事項なし。
固定資産評価証明書
申請する最新の年度の証明書が必要です。古いものだとダメです。被相続人が亡くなった年度のものではなく、登記申請をするときの年度のものが必要です。
その他
登録免許税について。
相続登記で納付すべき登録免許税は原則として、不動産の固定資産税評価額に1000分の4を乗じた金額です。
評価額が1000万円の不動産について相続登記を申請する場合の登録免許税は4万円になります。
遺言書による相続登記における相続関係説明図
相続関係説明図を作成して、提出すると、登記が完了した後、戸籍をすべて返却してくれます。
相続関係によりますが、戸籍が少ないケース、例えば、被相続人の戸籍と相続する人の戸籍の2通だけなら、コピーして、原本還付手続きをとってもよいでしょう。
原本還付手続きをすれば戸籍を返却してくれますので。
自筆証書遺言は要注意、相続登記ができないケースも?
公正証書遺言の場合、作成時に公証人が関与するため、あまり、問題になることはないのですが、自筆証書遺言の場合、それが無効になってしまうケースがあります。
自筆証書遺言については、遺言者が全文を自書する必要があり、日付の記載と署名をしたうえ、押印をすることが必要です。
ワープロで作成したのはダメです。
(ただし、財産目録はオッケーです。)
また、相続財産である不動産の表示の仕方が問題になることもあります。
遺言書に記載された不動産と法務局の登記記録上の不動産が一致しなくてはいけません。
法務局の登記記録では、土地であれば地番や地積が記載されています。
そのため、遺言書作成時に法務局で登記事項証明書を取得して、これを見て、遺言書に記載します。
そうすると、対象となる不動産の同一性がとれます。
よくある例として、遺言書で不動産の表示を住所で記載してしまっている場合かあります。
そうすると、問題になってしまうことがあります。
なぜなら、登記記録の地番と住所は、一致するわけではないからです。
このような場合、遺言書に書かれた不動産が、登記記録上の不動産と一致することを示さなければいけません。
住宅地図など、そのほかの資料を用意して法務局に相談したりする必要があります。
同一性が認められなければ、場合によっては遺言書を用いて相続登記ができないということがあります。
自筆証書遺言には簡単に作成することができるというメリットがあります。
しかし、法律の専門家の関与なく作成した場合には遺言書としての効力が認められないということもありますので、注意が必要です。
なお、自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認の手続きを経ていないと登記手続きはできません。
遺言による相続登記と対抗要件
2019年6月以前に発生した相続においては、遺言があれば、相続登記をしなくても第三者に対して自分が所有者であることを主張することができたのですが、相続法が改正され、法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第
三者に対抗することができないことになりました。
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改正相続法が施行されたことにより、登記を放置をしておくと、不利益を被る可能性があります。
速やかに登記をすることをおすすめします。
相続登記を自分でやろうと考えている方
相続登記を自分でやろうと考えている方はこちらも参考にしてください。
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