労働組合の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

2023年8月11日金曜日

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労働組合の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について


労働組合の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。


根拠法

・労働組合法 (以下「法」という。)


登記手続法

・労働組合法施行令(以下「令」という。)

・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)

・商業登記法 (以下「商登法」という。)


労働組合の設立登記について


労働組合の設立登記についてです。


登記すべき事項(令3)


①名称

・名称には 「労働組合」 の文字の使用を強制されていないので、名称中に使用しなくてもよい

が、なるべく、法上の組合であることが判別できる名称を用いることが望ましい。


・同一の所在場所における同一の商号の使用は、禁止されている。


②主たる事務所の所在場所

・規約では、所在地は最小独立行政区まで記載すればよいが、登記事項としては所在地番まで記載することを要する。


・主たる事務所のほかに、 規約で従たる事務所を定めた場合は、主たる事務所とともに従たる事務所も登記事項となる。


③目的及び事業

・規約に定められた組合本来の目的とする事項はもちろんのこと、事業の具体的内容も記載することになる。


④代表者の氏名及び住所

・組合には1人又は数人の代表者を置かなければならない(法12①)が、規約上、労働委員長、執行委員長、組合長等の名称を用いていても、登記上の資格は、単に代表者として記載する。


・代表者は組合を代表するが、その代表権については、規約の規定や総会の決議によって制限できる(法12の2)。なお、その制限は、善意の第三者には対抗することはできない(法12の3)。


⑤解散事由を定めたときはその事由

・解散事由については、法10① に該当する場合のみが登記事項となるが、総会による決議による解散の場合でも法10②の決議要件(組合員又は構成団体の4分の3以上の多数決)と異なる要件を規約に定めたときは登記事項となる。



※労働組合においては、従たる事務所の所在地における登記については、 商登法48条を準用していないので、登記する必要がない。


添付書面


・規約 (令8、労働委員会の認証は不要)


・証明書 (令8)

労働組合の設立の登記申請には、法11条の規定による同法に適合する組合であることの労働委員会の証明書が必要である。


・代表者の選任に関する書面 (令8)

代表者の資格を証する書面として、 組合員大会又は代議員総会などにおいて代表者を選任した場合は、その議事録が該当するので、大会議事録又は総代会議事録を添付する。


・代表者の就任承諾書 (令8)

押印する印鑑についての制限はない。


・委任状(令8、商登法18)


・印鑑届(令8、商登法20)

印鑑証明書(規則5、商登規則9)


規約の記載事項


絶対的記載事項(法5②)


①名称


②主たる事務所の所在地


③単位労働組合の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること


④何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと


⑤単位労働組合にあっては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ働組合にあっては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙によること


⑥総会は、少なくとも毎年1回開催すること


⑦すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに少なくとも年1回組合員に公表されること


⑧同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数により決定を経なければ開始しないこと


⑨単位労働組合にあっては、規約は、組合員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあっては、その規約は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと


備考


・法人である労働組合を設立するには、法及び法5②の規定に適合する団体であることが条件であるが、これに該当するも②であれば、既存、新設の団体の区別はなく、労働委員会の証樹を受け設立の登記をすることにより法人格を取得する(法11)


・規約には、法5②に掲げる事項を定めなければならないが、それ以外にも目的、事業。 従たる事務所、組合員又は構成団体の資格、権利義務、会議の構成・運営、権限、役員の権限等のような事項は、労働組合が法人として事業を執行する以上は規約に定めるべき事項となると考えられる。


・労働委員会から適格証明書の交付を受けたときからその主たる事務所の所在地で登記しなければならないが、その期間については制限がない。


・単位労働組合とは、連合団体である労働組合以外の労働組合のことをいう。


労働組合の役員変更登記について


労働組合の役員変更登記についてです。


登記すべき事項


代表者 1人以上(法12①)


任期


代表者の任期については、法上には任期の上限がないので、原則、無制限であるが、 定款で定めた場合は、その任期に従うことになる。


選任機関


組合員又は代議員の直接無記名投票による選挙(法5② V )


添付書面


・規約及び選挙規則等 (令9)

代表者の選任機関等を確認するため


・代表者の選任を証する書面(令9)

規約で定められた選任機関の書面(組合大会議事録、選挙結果報告書など)


・就任承諾書 (令9)

押印する印鑑についての制限はない。


・印鑑証明書(規則5、商法規則61④)

代表者を選任した書面に押印された印鑑 (署名した役員全員分が必要。 なお、 代表印が押印されている場合は不要。)


・退任を証する書面(令9)

辞任届、死亡を証する書面(死亡届 戸籍謄本等) など


・印鑑届(8、商登法20、規則5、商登規則9)(印鑑証明書付)

印鑑登録者を変更する場合


・委任状(8、商登法18)


備考


代表者の変更の登記申請は、変更が生じたときから2週間以内にしなければならない(令5).


労働組合の管轄内での主たる事務所移転


労働組合の管轄内での主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


移転年月日

移転後の主たる事務所


決議機関


規約の変更(規約に地番まで定めている場合など)

規約の定めによる組合員又は代議員の直接無記

名投票による過半数以上の賛成


具体的住所及び移転年月日

規約に定める業務執行の決定機関


添付書面


・規約の変更の議決権限を有する機関に関する書面 (令9)

規約の変更が伴う場合(大会議事録など)


・事務所の移転の議決権限を有する機関に関する書面 (令9)


・委任状 (令8、商登法18)


労働組合の管轄外への主たる事務所移転


労働組合の管轄外への主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


旧管轄

 移転年月日

 移転後の主たる事務所


新管轄

 現に有効な登記事項全部移転事項


決議機関


規約の変更

規約の定めによる組合員又は代議員の直接無記

名投票による過半数以上の賛成


具体的住所及び移転年月日

規約に定める業務執行の決定機関


添付書面


・規約の変更の議決権限を有する機関に関する書面 (令9)

大会議事録など


・事務所の移転の議決権限を有する機関に関する書面 (令9)


・印鑑届印鑑届(令8、商登法20、規則 5、商登規則9)


・委任状 (令8、商登法18)


備考


・新管轄登記所用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。


・主たる事務所の移転の登記申請は、移転日から2週間以内にしなければならない (令4)。




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