弁護士法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

2023年8月12日土曜日

会社・法人

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弁護士法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について


弁護士法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について まとめています。


根拠法

・弁護士法 (以下「法」という。)

・法施行令

・法施行規則 (以下「法規則」という。)

・会社法(以下「会」という。)


登記手続法

・組合等登記令(以下「令」という。)

・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)

・会

・商業登記法 (以下「商登法」という。),

・商業登記規則(以下「商登規則」という)


弁護士法人の設立登記について


弁護士法人の設立登記についてです。


登記すべき事項(令2)


①目的及び業務

・法人は、以下の業務について行うことができる(法305)。


ア法3に規定する業務


イ定款に定めるところにより、 法令等に基づき、弁護士が行うことができるものとして法務省

令(平13年法務省令第62号第1条)で定める業務の全部又は一部


②名称


③事務所の所在場所

・事務所とは,主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。


④代表権を有する者の氏名,住所及び資格

・社員は各自法人を代表するので (法30の13①),社員全員の氏名、住所が登記事項となる。

ただし、定款又は総社員の同意をもって、社員の中から法人を代表すべき者を定めることができるので(法30の13②)、その場合は,代表社員の氏名、住所が登記事項になる。


⑤存続期間又は解散の事由を定めたときはその事由

・解散の事由については,法30の23① Iに該当する場合のみ登記事項となる。


⑥社員(法人を代表すべき社員を除く)の氏名及び住所 (令2⑥別表)

・代表権を有する社員は代表社員として登記されることから、社員として二重に登記することは不要である。


⑦合併の公告の方法についての定めがあるときは,その定め(令2⑥別表)

・合併公告の方法として、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告のいずれかを定款に定めることができる。


⑧電子公告を合併の公告の方法とする旨の定めがあるときは、電子公告関係事項 (2⑥別表)

・事故等の場合における予備的な公告方法を定めることができる。


添付書面


・定款 (16②、公証人の認証要:法30の8②、30①)


・法人を代表すべき者の資格を証する書面 (代表社員を定めたとき :令16②)

①定款に定めた場合

定款


②総社員の同意で定めた場合

総社員の同意書


・社員の資格を有する書面 (令16②)

社員は弁護士でなければならない (法30の4①)ので,その者が弁護士であることを証する書面を添付しなければならない。

日本弁護士会連合会会長が発行する、弁護士法人の社員資格証明書が、これに該当する (平14.3.25 民商717 民事局商事課長通知)。


・合併の公告の方法についての定めを証する書面 (令16③)

合併の公告の方法については、定款に定めることができるので、定款がこれに該当する。


・総社員の同意書又は決定書(法16②)

主たる事務所について、総社員の同意で具体的住所を定めた場合


・委任状(令25,商登法18)


・印鑑届(令25、商登法20)

印鑑証明書(規則5、商登規則9)


定款の記載事項


・絶対的記載事項(法30の8③)


①目的


②名称

名称中に、「弁護士法人」 の文字を必ず使用しなければならない。(法30の3)


③法律事務所の所在地

従たる事務所も設置する場合は,主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。 

また、所在地は、最小独立行政区まで記載すればよい。


④所属弁護士会

弁護士法人は,その成立時に、主たる事務所の所在する地域の弁護士会の会員となる (法36の2①)。


⑤社員の氏名,住所及び所属弁護士会社員の人数は1人以上必要とされている(法30の2,30の8①)。


⑥社員の出資に関する事項

出資の種類は金銭に限らず、その他の財産、 労務、信用でも差し支えないが、その価額又は評価の基準を記載しなければならない。


⑦業務の執行に関する事項


・相対的記載事項

損益の分配割合(法30の30①、622)

代表社員の選任(法30の13②)

社員の脱退事由(法30の22①)

法人の解散事由及び存続期間

(法30の23① I、令2②V)

合併の公告をする方法

(法30の28⑥、939①③)など


・任意的記載事項

上記以外で、法令に違反しないもの及び公序良俗に反しないもの

 例:社員報酬、事業年度など


備考


・社員になろうとする弁護士1人以上が定款を作成する (法30の8① )。


・法人の法律事務所には,当該法律事務所の所在する地域の弁護士会の会員である社員を常駐させなければならない。 ただし、従たる法律事務所はこの限りではない(法30の17)。


・法人の社員は、 弁護士でなければならず(法30の4 ①)、人数は1人以上必要とされている(法)30の2,30の8①)。 したがって、他の資格者法人とは異なり、社員が1名になったとしても解散事由とはならない。


・社員の欠格事由(法30の4②)


・社員の所属弁護士会は、社員である弁護士が、自然人たる弁護士として登録している所属弁

護士会を指す。


・法人は、社員のうち、特定の事件について,業務を担当する社員を指定でき、その指定事件については,指定社員のみが業務を執行し,かつ、法人を代表する (30の14)。 ただし、指定社員の指定による他の社員の代表制限は,善意の第三者には対抗できない(法30の13④)ので、指定社員は登記事項ではない。


弁護士法人の社員の役員変更登記について


弁護士法人の社員の役員変更登記についてです。


登記すべき事項


社員 1人以上(法30の23① VIⅡI)


任期


なし


選任機関


総社員の同意

(法30の11①)

・定款の変更になるため


添付書面


・総社員の同意書 (17①)

社員は定款の絶対的記載事項であるため


・社員の資格を有する書面 (令17①)

設立の添付書面欄を参照


・印鑑証明書(規則5、商登法61④)

総社員の同意書に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)


・退任を証する書面(令17①)

総社員の同意書(辞任、解任),死亡を証する書面 (死亡届,戸籍謄本等) など


・印鑑届(25、商登法 20、規則5,商登規則9)(印鑑証明書付)

登録者が変更する場合


・委任状 (25、商登法18)


備考


・弁護士法人は,民法643条を準用していないため、就任承諾書は不要であり,また、社員の一方的な辞任はできないとされている。


弁護士法人の代表社員の役員変更登記について


弁護士法人の代表社員の役員変更登記についてです。


登記すべき事項


代表社員 (任意)

(法30の12②)


任期


なし


選任機関


定款又は総社員の同意

(法30の13②)


添付書面


・代表権を有する者(代表社員)の選任を証する書面(17①)


① 定款に定めた場合

総社員の同意書

②総社員の同意の場合

総社員の同意書


・社員の資格を有する書面 (令17①)

設立の添付書面欄を参照


・印鑑証明書(規則5、商登法61④)

代表権を有する者を選任した書面に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)


・退任を証する書面(令17①)

死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本等)など


・印鑑届(令25、商登法20、規則5、商登規則9)(印鑑証明書付)

登録者が変更する場合


・委任状(令25、商登法18)


備考


弁護士法人は,民法643条を準用していないため、就任承諾書は不要であり,また、社員の一方的な辞任はできないとされている。


弁護士法人の管轄内での主たる事務所移転


弁護士法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。


記すべき事項


移転年月日

移転後の主たる事務所


決議機関


定款変更を伴う場合(定款で地番まで定めた場合)

総社員の同意(法48の13①)


具体的住所及び移転年月日

社員の過半数の一致

(590を準用していないが、一般原則による。)


添付書面


・総社員の同意書 (令17①)

定款変更が伴う場合


・社員の過半数の一致を証する書面(令17①)


・委任状(25,商登法18)


弁護士法人の管轄外への主たる事務所移転


弁護士法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


旧管轄

 移転年月日

 移転後の主たる事務所


|新管轄

 現に有効な登記事項全部

 移転事項


決議機関


定款変更

総社員の同意(法48の13①)


具体的住所及び移転年月日

社員の過半数の一致

(590を準用していないが、一般原則による。)


添付書面


・総社員の同意書(17①)

社員の過半数の一致を証する書面(令17①)


・印鑑届(令25、商登法 20、規則 5,商登規則9)


・委任状(令25、商登法18)


備考


新管轄用の登記すべき事項は,主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。




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