司法書士法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・司法書士法(以下「法」5。)
・法施行令
・法施行規則(以下「法規則」5。)
・会社法(以下「会」5。)
登記手続法
↓
・組合等登記会(以下「令」5。)
・各種法人等登記規則(以下「規則」。)
・商業登記法(以下「商登法」5。)
司法書士法人の設立登記について
司法書士法人の設立登記についてです。
登記すべき事項 (令2)
①目的及び業務
②名称
③事務所の所在場所
・事務所とは、主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、従たる事務所を設置する場合は、主たる事務所とともに従たる事務所も登記事項となる。
④代表権を有する者の氏名,住所及び資格
・社員は各自法人を代表するので(法36①)、社員全員の氏名、住所が登記事項となる。
ただし、定款又は総社員の同意をもって、社員の中から法人を代表すべき者を定めることができるので(法37①)、その場合は、代表社員の氏名,住所が登記事項になる。
・簡易訴訟代理等関係業務を行う法人の簡易訴訟代理等関係業務については、特定社員が法人を代表するが (36②)、特定社員の全員の同意で特に代表すべき者を定めたときは、代表特定社員となる (37②)。
⑤存続期間又は解散の事由を定めたときはその事由
・解散の事由については、法44① に該当する場合のみ登記事項となる。
⑥ 社員(法人を代表すべき社員を除く)の氏名及び住所 (令2⑥別表)
・代表権を有する社員は代表社員又は代表特定社員として登記されることから、社員又は特定社員として二重に登記することは不要である。
⑦社員が法36② に規定する特定社員であるときは,その旨 (令2⑥別表)
⑧代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは,その定め(令2⑥別表)
⑨合併の公告の方法についての定めがあるときは,その定め(令2⑥別表)
・合併公告の方法として,時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告のいずれかを定款に定めることができる。
⑩ 電子公告を合併の公告の方法とする旨の定めがあるときは、 電子公告関係事項(令2⑥別表)
・事故等の場合における予備的な公告方法を定めることができる。
添付書面
・定款(公証人の認証要: 法32②,30①)
法人を代表すべき者の資格を証する書面 (令16②)
①代表社員
ア定款に定めた場合
定款
イ総社員の同意で定めた場合
総社員の同意書
②特定社員
特定社員の同意書
・社員及び特定社員の資格を有する書面 (令16②)
社員は司法書士でなければならない(法28①)ので,その者が司法書士であることを証する書面を添付しなければならない。
また、簡易訴訟代理等関係業務を行う特定社員は認定司法書士でなければならない(法29②)ので,その者が認定司法書士であることを証する書面を添付しなければならない。
日本司法書士会連合会会長が発行する、司法書士法人の社員資格証明書が、これに該当する。 なお,この書面に法3②の認定の年月日及び認定番号が証されている場合は、特定社員であることを証する書面を兼ねる。
・合併の公告の方法についての定めを証する書面(令16③)
合併の公告の方法については、定款に定めることができるので、定款がこれに該当する。
・総社員の同意書又は決定書 (令16②)
主たる事務所について、総社員の同意で具体的住所を定めた場合
・委任状(令25、商登法18)
・印鑑届(令25. 商登法20)
印鑑証明書(規則 5、商登規則9)
定款の記載事項
・絶対的記載事項 (法32③)
①目的
法人は、以下の業務について行うことができる(法29)。
ア法3① IからVに規定する業務
イ定款に定めるところにより、法令等に基づき司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務(法規則31)の全部又は一部
ウ簡易訴訟代理等関係業務
②名称
名称中に、「司法書士法人」 の文字を必ず使用しなければならない。(法27)
③主たる事務所及び従たる事務所の所在地
所在地は、最小独立行政区まで記載すればよい。
④社員の氏名,住所及び法3②に規定する司法書士であるか否の別
社員の人数は2人以上必要とされている (法44②)。
⑤ 社員の出資に関する事項
出資の種類は金銭に限らず、その他の財産、労務、信用でも差し支えないが、その価額又は評価の基準を記載しなければならない。
・相対的記載事項
損益の分配割合(法46②、622)
代表社員の選任 (法37①)
社員の脱退事由(法43②)
法人の解散事由及び存続期間(法44①,2②V)
合併の公告をする方法
(法4502⑥、939①③)など
・任意的記載事項
上記以外で、法令に違反しないもの及び公序良俗に反しないもの
例:社員報酬、事業年度など
備考
・社員になろうとする司法書士2人以上が共同して定款を作成する (法32①)。
・簡易訴訟代理等関係業務とは、法3① VIからVⅢに掲げる業務のことを指し,当該業務を行うことができる社員を特定社員(法36②) という。
・特定社員には、法3②各号の規定にすべて該当する司法書士が、なることができる。
・法人の事務所には、その事務所の所在地を含む区域に設立されている司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない(法39)。
・法人の社員は、司法書士でなければならず (法28①)、人数は2人以上必要とされており(法32①、44②)、社員が1名になったときは解散事由となる(法442).
・社員の欠格事由(法28②)
当該代表者について、 代表権の範囲又は制限に関する定めがあるか否かは,当該代表者の資格及び当該代表者以外の代表者の資格との関係によって表示される。
司法書士法人の社員、特定社員の役員変更登記について
司法書士法人の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
社員(法37①)
特定社員 (法37②)
任期
なし
選任機関
総社員の同意
・定款の変更になるため
添付書面
・総社員の同意書 (令17①)
社員及び特定社員は定款の絶対的記載事項であるため社員及び特定社員の資格を有する書面 (令17①)
設立の添付書面欄を参照
・印鑑証明書(規則5、商登法61④)
総社員の同意書に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)
・退任を証する書面(令17①)
総社員の同意書(辞任、解任)、死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本等) など
・印鑑届(令25、商登法20、規則 5、商登規則9)(印鑑証明書付)
登録者が変更する場合
・委任状 (25、商登法18)
備考
・役員の人数は、社員及び代表社員合わせて2人以上必要である。
・司法書士法人は、民法643条を準用していないため、就任承諾書は不要であり、 また、社員の一方的な辞任はできないとされている。
司法書士法人の代表社員、代表特定社員の役員変更登記について
司法書士法人の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
代表社員 (任意 法37①)
代表特定社員 (任意 : 法37②)
任期
なし
選任機関
代表社員
定款又は総社員の同意(法37①)
代表特定社員
特定社員の全員の同意(法37②)
添付書面
・代表権を有する者の選任を証する書面(令17①)
①代表社員 (37①)
総社員の同意書
②代表特定社員 (法37②)
特定社員の全員の同意書
・社員及び特定社員の資格を有する書面 (令17①)
設立の添付書面欄を参照
・印鑑証明書(規則5、商登法61④)
代表権を有する者を選任した書面に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)
・退任を証する書面(令17①)
死亡を証する書面 (死亡届、戸籍謄本等) など
・印鑑届 (25、商登法20、規則5、商登規則9)(印鑑証明書付)
登録者が変更する場合
・委任状(25、商登法18)
備考
・役員の人数は、社員及び代表社員合わせて2人以上必要である。
・司法書士法人は、民法643条を準用していないため、就任承諾書は不要であり、 また、社員の一方的な辞任はできないとされている。
司法書士法人の管轄内での主たる事務所移転
司法書士法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
定款変更を伴う場合(定款で地番まで定めた場合)
総社員の同意(法35①)
具体的住所及び移転年月日
社員の過半数の一致
(590を準用していないが、一般原則による。)
添付書面
・総社員の同意書 (17①)
定款変更が伴う場合
・社員の過半数の一致を証する書面 (17①)
・委任状(25、商登法18)
司法書士法人の管轄外への主たる事務所移転
司法書士法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
定款変更
総社員の同意(法35①)
具体的住所及び移転年月日
社員の過半数の一致
(590を準用していないが、一般原則による。)
添付書面
・総社員の同意書 (17①)
社員の過半数の一致を証する書面(17①)
・印鑑届(25、商登法20、規則 5. 商登規則9)
・委任状(25、商登法18)
備考
・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
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