特定目的会社 (SPC)の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・特定目的会社の資産流動化に関する法律(以下「法」という。)
・法施行令
・会社法(以下「会」という。)
登記手続法
↓
・特定目的会社登記規則(以下「規則」という。),
・商業登記法(以下「商登法」という。),
・商業登記規則(以下「商登規則」という。)
・登録免許税法別表第一25
特定目的会社 (SPC)の設立登記について
特定目的会社 (SPC)の設立登記についてです。
登記すべき事項(法22)
①目的
②商号
③本店及支店の所在場所
④特定目的会社の存続期間又は解散の事由
・解散の事由については、法定解散事由も登記事項となる (平19.7.13 民商 1427民事局商事課長)。
⑤特定資本金の額
⑥発行した特定出資の総口数
⑦特定社員名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
⑧取締役及び監査役の氏名及び住所
⑨取締役のうち特定目的会社を代表しない者があるときは,当該特定目的会社を代表する取締役の氏名
⑩会計参与設置会社であるときは,その旨及び会計参与の氏名又は名称及び計算書類等の備置き場所
⑪会計監査人設置会社であるときは,その旨及び監査人の氏名又は名称
⑫一時会計監査人の職務を行うべき者をおいたときは、その氏名又は名称
⑬貸借対照表を電磁的方法により開示するときは,当該情報が掲載されているウェブページのアドレス
⑭公告方法
⑮公告の方法が電子公告の場合は,当該情報が掲載されているウェブページのアドレス及び事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法について定款の定めがあるときは、その定め
添付書面
・定款(法184①I、公証人の認証要:法16⑥,会30)
・定款に変態設立事項 (法16③)についての記載がある場合(法184①II)
①検査役又は設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及び附属書類
②現物出資財産について定款に記載された価額が相当であることについて弁護士等の証明を受けた場合には,その証明書及び附属書類
・検査役の報告に関する裁判があったときは、その謄本(法184①Ⅲ)
・払込取扱機関の払込金の保管に関する証明書(法184①IV)
特定目的会社の設立は発起設立となるが、会社法とは異なり、払込金融機関の払込金保管証明の義務がある(法24③)ので、払込金保管証明書が必要になる。
・特定社員名簿管理人を置いたときは,その者との契約を証する書面(法184①V)
・設立時取締役、設立時監査役、設立時代表取締役の選任に関する書面
①定款(定款の附則に定めた場合)
②発起人の過半数の一致を証する書面
・設立時取締役、設立時監査役、設立時代表取締役の就任承諾書(法184①VI)
・印鑑証明書(規則③、商登法61)
設立時取締役の就任承諾書に押印された印鑑
・設立時会計参与又は設立時会計監査人を選任したときは,選任等に関する書面 (法184①Ⅶ)
①設立時会計参与又は設立時会計監査人の就任承諾書
②設立時会計参与又は設立時会計監査人が法人の場合
登記事項証明書(作成後3か月以内: 規則3、商登法61②、当該登記所の管轄のときは不要)
③設立時会計参与又は設立時会計監査人が個人の場合
公認会計士又は税理士であることを証する書面
・発起人の同意書又は決議書(法184②)
・委任状(法183、商登法18)
・印鑑届(印鑑証明付)
定款の記載事項
・絶対的記載事項(法16②)
①目的
会社は、資産流動化計画に従って営む資産の流動化に係る業務及びその附帯業務(対価を得て,当該資産流動化計画に記載され、 又は記録された特定資産以外の資産の譲渡若しくは貸付又は役務の提供を行うことを除く。)のほかは行うことはできない (法195①)。
②商号
名称中に,「特定目的会社」 の文字を必ず使用しなければならない。(法15②)
③本店の所在地
所在地は、最小独立行政区まで記載すればよい。
④特定資本金の額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
⑥存続期間又は解散の事由
・相対的記載事項
法16③ I~IV、法194
・任意的記載事項 (法16④)
上記以外で、法の規定に違反しないもの
備考
・特定目的会社の定款は,発起人1名以上で作成し、公証人の認証を受けなければならない。
・各発起人は設立時発行特定出資を1人1口以上引き受けなければならず(法17③)、また、発起人は発行の全部を引き受けなければならない (法17②)。
・役員等の人数、 任期は役員変更を参照。
・公告方法については,定款に記載しない場合は,官報に掲載してする方法とされた(法194)ので、定款の相対的記載事項とされている。
特定目的会社 (SPC)の役員変更登記について
特定目的会社 (SPC)の役員変更登記についてです。
登記すべき事項、任期、選任機關
・取締役 1人以上(法67①I)
任期 なし
選任機關 社員総会の決議(法68)
・監査役 1人以上(法 67①ⅡI)
任期 なし
選任機關 社員総会の決議(法68)
・会計参与(任意 法67②)
任期 なし
選任機關 社員総会の決議(法68)
・会計監査人(法67①)
任期 1年(法73④、会338)、自動再任
選任機關 社員総会の決議(法68)
・代表取締役 (法79①③)
任期 なし
選任機關
→定款、定款の定めに基づく取締役の互選
社員総会の決議
添付書面
・取締役及び監査役の選任を証する書面 (法183、商登法46②)
・社員総会議事録
・取締役及び監査役の就任承諾書(法183、商登法54①)
監査役については、押印する印鑑についての制限はない。
・代表取締役を設置している場合
①代表取締役を選定した書面(法183、商登法46①②)
定款、取締役の互選書、社員総会議事録
②就任承諾書(法183、商登法54①)
押印する印鑑についての制限はない。
・会計監査人を設置している場合
①会計監査人の選任を証する書面(法183、商登法46②)
定時社員総会議事録
②就任承諾書(法183、商登法54② I)
押印する印鑑についての制限はない。
③資格を証する書面
ア会計監査人が個人の場合(法183、商登法 54②Ⅲ)
公認会計士であることを証する書面
イ会計監査人が法人である場合(法183、商登法54②Ⅱ)
当該法人の登記事項証明書
(作成後3か月以内 : 規則3、商登規則36の2)
・会計参与を設置している場合
①会計参与の選任を証する書面 (法183、商登法46②)
社員総会議事録
②就任承諾書(法183、商登法54② I)
押印する印鑑についての制限はない。
③資格を証する書面
ア会計参与が個人の場合(法183、商登法 54②III)
公認会計士又は税理士であることを証する書面
イ会計参与が法人である場合(法183、商登法54② ⅡI)
当該法人の登記事項証明書
(作成後3か月以内 : 規則3、商登規則362)
・印鑑証明書(規則3、商登規則61②④)
①取締役の就任承諾書に押印された印鑑
②代表取締役を選定した書面に押印された印鑑(出席した取締役及び監査役の分が必要。なお、代表印が押印されている場合は不要。)
・退任を証する書面 (法183、商登法54④)
辞任届 死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本等)など
・印鑑届(印鑑証明書付)
代表者が変更する場合
・委任状(法183、商登法18)
備考
・役員(会計監査人を除く)の任期については,法上には任期の上限がないので,原則、無制限であるが、定款で定めた場合は、その任期に従うことになる。
・会計監査人については、資産対応証券として特定社債のみを発行する特定目的会社であって 資産流動化計画に定められた特定社債の発行総額と特定目的借入れの総額との合計額が200億円に満たないものにあっては、置かなくてもよい(法 67①)。
・登録免許税 1万5千円
特定目的会社 (SPC)の管轄内での主たる事務所移転
特定目的会社 (SPC)の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
定款変更 定款に地番まで定めている場合など)
社員総会 (法150)
具体的住所及び移転年月日
取締役の決定(法 78 )
添付書面
・「社員総会議事録(法183、商登法46②)
定款変更を伴う場合
・取締役の過半数の一致があったことを証する書面
(法183、商登法46①)
・委任状(法183、商登法18)
備考
・登錄免許稅
管轄内 1万5千円
特定目的会社 (SPC)の管轄外への主たる事務所移転
特定目的会社 (SPC)の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
定款変更
社員総会(法150)
具体的住所及び移転年月日
取締役の決定(法78
添付書面
・社員総会議事録((法183、商登法46②)
・取締役の過半数の一致があったことを証する書面
(法183、商登法46①)
・印鑑届(法183、商登法51①②)
・委任状(法183、商登法18)
備考
・新管轄用の登記すべき事項は,主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
登錄免許稅
・管轄外 3万円
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