登記識別情報は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、登記を完了した時に、その申請人に対して通知されます。
したがって、代位登記における代位権者や共同相続人の一人が保存行為として行なった共同相続の登記の申請における他の相続人には通知されません。
登記識別情報通知が発行される場合、されない場合
登記識別情報の通知がされる場合とされない場合を登記と内容別に整理してみました。
次のとおりです。
所有権の移転の登記の抹消
【登記の内容】所有権の移転の登記の抹消
↓
通知されない。
当該抹消された登記の前の所有権の登記の登記名義人について新たな登記がされるものではないことから、当該登記名義人に新たな登記識別情報の通知はされない。
なお、この場合において、前の登記名義人が権利に関する登記をする場合に提供すべき登記識別情報は、従前の登記識別情報である。
甲の単独所有の不動産について、甲・乙の共有とする所有権の更正の登記
【登記の内容】甲の単独所有の不動産について、甲・乙の共有とする所有権の更正の登記
↓
乙について登記識別情報が通知される。
甲乙共有の不動産について、乙の単独の所有とする所有権の更正の登記
【登記の内容】甲乙共有の不動産について、乙の単独の所有とする所有権の更正の登記
↓
乙について登記識別情報の通知がされる。
甲から乙への「所有権移転」の登記を「所有権一部移転」の登記とする所有権の更正の登記
【登記の内容】甲から乙への「所有権移転」の登記を「所有権一部移転」の登記とする所有権の更正の登記
↓
通知されない。
甲から乙への所有権の一部(持分1/2)の移転の登記を所有権全部の移転の登記とする所有権の更正の登記
【登記の内容】甲から乙への所有権の一部(持分1/2)の移転の登記を所有権全部の移転の登記とする所有権の更正の登記
↓
乙について登記識別情報の通知がされる。
甲1/2、乙1/2の共有とする所有権の移転の登記を甲持分2/3、乙持分1/3のとする所有権の更正の登記 甲1/2、乙1/2 → 甲2/3、乙1/3 (甲の持分増加、乙の持分減少)
【登記の内容】甲1/2、乙1/2の共有とする所有権の移転の登記を甲持分2/3、乙持分1/3のとする所有権の更正の登記
甲1/2、乙1/2 → 甲2/3、乙1/3 (甲の持分増加、乙の持分減少)
↓
通知されない。
被相続人名義への所有権移転登記を相続人から申請した場合
【登記の内容】被相続人名義への所有権移転登記を相続人から申請した場合
↓
通知される。(平成18年2月28日民二第523号通知)
申請人自らが登記名義人となる場合ではないが、通知される。
登記名義人となる者は被相続人であり、死亡しているので、申請できない。
相続人不存在による「亡何某相続財産」とする登記名義人表示変更登記
【登記の内容】相続人不存在による「亡何某相続財産」とする登記名義人表示変更登記
↓
通知されない。
土地改良及び土地区画整理事業者の代位による相続保存登記及び相続移転登記
【登記の内容】土地改良及び土地区画整理事業者の代位による相続保存登記及び相続移転登記
↓
通知される。
(土地改良登記令第3条、土地区画整理登記令第3条)
参考
土地改良登記令
(代位登記の登記識別情報)
第三条 登記官は、前条の規定による申請に基づいて同条第四号又は第五号に掲げる登記を完了したときは、速やかに、登記権利者のために登記識別情報を申請人に通知しなければならない。
2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた申請人は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。
↓ 前条
(代位登記)
第二条 土地改良事業を行う者は、この政令の定めるところにより登記を申請する場合において、必要があるときは、次の各号に掲げる登記をそれぞれ当該各号に定める者に代わつて申請することができる。
一 不動産の表題登記 所有者
二 不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記 表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人
三 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記 登記名義人又はその相続人その他の一般承継人
四 所有権の保存の登記 表題部所有者の相続人その他の一般承継人
五 相続その他の一般承継による所有権の移転の登記 相続人その他の一般承継人
土地区画整理登記令
(代位登記の登記識別情報)
第三条 登記官は、前条の規定による申請に基づいて同条第四号又は第五号に掲げる登記を完了したときは、速やかに、登記権利者のために登記識別情報を申請人に通知しなければならない。
2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた申請人は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。
↓ 前条
(代位登記)
第二条 土地区画整理事業を施行する者(以下「施行者」という。)は、この政令の定めるところにより登記を申請する場合において、必要があるときは、次の各号に掲げる登記をそれぞれ当該各号に定める者に代わつて申請することができる。
一 不動産の表題登記 所有者
二 不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記 表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人
三 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記 登記名義人又はその相続人その他の一般承継人
四 所有権の保存の登記 表題部所有者の相続人その他の一般承継人
五 相続その他の一般承継による所有権の移転の登記 相続人その他の一般承継人
(根)抵当権の債務者変更(更正)等の(根)抵当権変更(更正)の登記
【登記の内容】(根)抵当権の債務者変更(更正)等の(根)抵当権変更(更正)の登記
↓
通知されない
根抵当権の極度額変更(増額)の登記
【登記の内容】根抵当権の極度額変更(増額)の登記
↓
通知されない
持分を目的とする(根)抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記
【登記の内容】持分を目的とする(根)抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記
↓
通知されない
甲持分を目的とする(根)抵当権設定登記を(根)抵当権設定とする更正の登記(甲乙共有の不動産で持分設定であったものを全体への設定にする)
【登記の内容】甲持分を目的とする(根)抵当権設定登記を(根)抵当権設定とする更正の登記(甲乙共有の不動産で持分設定であったものを全体への設定にする)
↓
通知されない
(根)抵当権設定の登記を甲持分の(根)抵当権設定登記とする更正の登記(甲乙共有不動産で全体への設定であったものを持分設定へ更正する)
【登記の内容】(根)抵当権設定の登記を甲持分の(根)抵当権設定登記とする更正の登記(甲乙共有不動産で全体への設定であったものを持分設定へ更正する)
↓
通知されない
抹消された(根)抵当権設定登記の回復の登記
【登記の内容】抹消された(根)抵当権設定登記の回復の登記
↓
通知されない
地役権設定の登記
【登記の内容】地役権設定の登記
↓
通知されない
地役権設定登記において登記名義人の登記をしないことによる。
おわりに
登記識別情報の通知がされる場合とされない場合を登記と内容別に整理してみましたが、以上です。
参考にしてください。
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