多くの方が一番気にすることは、
「相続税がどのくらいかかるのか?」
ということではないでしょうか。
この記事では、相続税の計算の流れを説明したいと思います。
【相続税の計算】相続税は相続財産がいくらぐらいだと申告が必要?
相続税は、相続人の取得した財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に課税されます。
基礎控除額は、次の計算式で、計算します。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
それでは、相続税の計算の流れを見ていきます。
次の1から6の流れで計算をして行きます。
1 残された相続財産を合計
2 基礎控除の金額を計算
3 基礎控除額を引いた後の相続財産額を法定相続分で分けたと仮定
4 速算表の税率を基に各々の相続税の計算、家族全体での金額を算出
5 家族全体での相続税を実際に受け取った財産の割合で振り分ける
6 実際の納税額を計算【相続税の配偶者控除には注意が必要】
順番に見ていきます。
残された相続財産を合計
まずは、相続税の対象となる相続財産が合計でいくらになるのかを計算する必要があります。
相続財産には、
・現金 ・家、土地などの不動産
・株式、生命保険金など
がありますが、基本的には亡くなった日における時価で計算することになります。
その他の財産についても、基本的に売ってお金に変えたらいくらになるのかと考え、計算します。
実際の価値よりも低く評価してもよい特例などもあります。
不動産については評価が難しい【土地の相続税計算には路線価を】
不動産については評価が難しいので注意が必要です。
正しい価格を知るためには、不動産鑑定士などのプロに依頼する必要がありますが、
概算を計算する場合は、そこまでする必要はありません。
国税庁が発表している路線価というものがあります。
この路線価を使うことで、おおよその土地の評価額を出すことができます。
こちらを使いましょう。
↓
路線価は、路線に面した土地1平方メートル当たりの評価額です。
なので、土地の相続税評価額は、
路線価 × 土地の面積
で求められます。
(土地の形状や利用方法により、補正率をかけて計算する場合もあり。)
小規模宅地の特例について
小規模宅地の特例が使えるか検討します。
小規模宅地の特例とは、亡くなった人が住んでいた土地を、
一定の要件を満たす人が相続したときに価格を8割引で評価できるという特例です。
仮に1億円の土地だとすると、8割引の2,000万円の評価額でよいということになります。
大きな節税効果があることがわかります。
自宅は地価の高いエリアにある場合、必ず利用するべき特例です。
生命保険について
生命保険の保険金にも、基本的に税金がかかります。
非課税限度額を超えた部分にかかります。
非課税限度額は、
「500万円×法定相続人の数」
で、算出します。
例えば、 夫が死亡し、妻と2人が相続人になる場合、
非課税限度額が1,500万円です。
この金額を超えた分が相続税の対象となります。
基礎控除の金額を計算
相続財産の合計ができたら、その合計額から基礎控除の金額を引き算します。
基礎控除の計算式は次のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
相続人が妻と子ども2人の場合
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
4,800万円が基礎控除額になります。
相続税は、この基礎控除額を超えた時に発生します。
基礎控除額を引いた後の相続財産額を法定相続分で分けたと仮定
基礎控除額を引いた後の財産額を、
法定相続分で分けたと仮定して計算します。
相続人が、妻、長男、次男の3人だとします。
基礎控除額を引いた後の相続税対象となる財産額が1億円だったとします。
この1億円を法定相続分で分割したとしてものとして計算します。
法定相続分は、
妻1/2、長男は1/4、次男も1/4です。
なので、
妻5,000万円、長男2,500万円、次男も2,500万円 となります
速算表の税率を基に各々の相続税の計算、家族全体での金額を算出
下記の速算表の税率をそれぞれかけ、控除額を差し引きます。
妻→800万円(5,000万円×税率20%-200万円)
長男と次男→325万円(2,500万円×税率15%-50万円)
これを合計すると、
↓
800万円+325万円+325万円 1,450万円
↓
家族全体の合計金額→1,450万円
一度、法定相続分で分けた後に、相続税率をかけて計算するというのがポイントです。
家族全体での相続税を実際に受け取った財産の割合で振り分ける
家族全体の相続税額が計算できたら、今度は各相続人が実際に相続した割合で相続税を分けます。
例えば、3人平等に1/3ずつ分けた場合、
1,450万円×1/3で、
1人あたり、約483万円の相続税を負担するということになります。
極端な例ですが、全ての財産を長男が相続した場合は、
長男が一人で450万円の相続税を負担することになります。
妻と次男は相続税の負担は発生しません。
相続財産を相続した人が、相続した分に応じた相続税を負担することになります。
実際の納税額を計算【相続税の配偶者控除には注意が必要】
最後に実際の納付額を計算していきます。
夫婦間の相続には、一定額まで相続税がかからない配偶者の税額軽減の特例があります。
配偶者が相続した財産が1億6,000万以下の場合は相続税がかかりません。
先ほどの例で考えると、妻が相続した財産は5,000万円でしたが、
約483万円の相続税は免除されることになります。
長男と次男がそれぞれ約483万の相続税を負担します。
配偶者の税額軽減の特例はとても効果が大きいので財産はすべて奥さんに相続させれば、相続税がかからないのでは?
と思われる方が多いかもしれません。
しかし、そこには大きな落とし穴があります。
妻に多く相続させることで、結果的に税負担額が大きくなってしまうケースもあります。
それは、二次相続のケースで、
つまり、妻が亡くなって子供二人に相続する時に相続税が高くなってしまうということです。
この部分についてはまた別に解説します。
最後に
書ききれていない制度もまだまだありますが、相続税の概算を知るために必要な計算方法を説明しました。
ぜひ一度、自分の家庭に当てはめて計算してみてください。
相続税は、税理士の腕次第で、大きく金額が変わる税金です。
相続を専門とする有能な税理士におまかせすれば、大幅な相続税対策が可能になります。
ほかにも悩みがある方、相談先を探したい方は
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