管理組合法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

2023年8月9日水曜日

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管理組合法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について


管理組合法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。


根拠法

・建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)

・法施行規則(以下「法規則」という。)


登記手続法

・組合等登記令(以下「令」という。)

・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)

・商業登記法(以下「商登法」という。)

・商業登記規則(以下「商登規則」という。)


管理組合法人の設立登記について


管理組合法人の設立登記についてです。


登記すべき事項


①目的及び業務

管理組合法人は、建物及び並びにその敷地及び附属施設の管理を行うことを目的として成立する法人であるので、管理する目的物を記載することになる。


②名称


③事務所の所在場所

事務所とは、主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。


④ 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

理事は法人を代表し(法49③)、 理事が複数いる場合は各自代表となるので(法49④)、理事全員の氏名及び住所が登記事項となる。 ただし、 規約若しくは集会の決議又は規約に基づく理事の互選によって代表すべき理事を定めた場合は、当該理事のみが法人を代表するので、当該理事の氏名及び住所が登記事項となり、資格も理事で記載する (法49⑤)。


⑤共同代表の定めがあるときは、その定め(令2⑥別表)

・規約又は集会の決議により、 数人の理事が共同して法人を代表すべきことを定めることができる(法49⑤、66)ので、共同代表を定めた場合には、その旨を登記しなければならない。


※登記すべき事項の「存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由(令2②V)」 については、 管理組合法人の解散事由は法55① に規定されており、規約等で存続期間や解散事由を定めることは認められていないので、 その適用は受けず、 登記すべき事項とはならない。


添付書面


①法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めた集会の議事録 (令26④ I)

・管理組合法人を設立するには、区分所有者及び議決権のそれぞれ4分の3以上の多数による集会の決議で、 法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めなければならない(法47①)。


②令第2条第2項第1号に掲げる事項 (目的及び業務)を証する書面 (令26④ ⅡI)

・当該法人の管理の目的物が記載されている書面が必要となるので、その旨が記載された規約又は公正証書等がこれに該当する。 なお、 上記の集会の議事録に管理の目的物が記載されていれば、 兼ねることができる。


③代表すべき者の資格を証する書面 (法26④ Ⅲ)

(1)理事が各自代表するとき

ア 集会の議事録 (理事の選任)


(2)規約又は集会の決議によって法人を代表すべき理事を定めたとき

ア 集会の議事録 (理事及び代表権のある理事の選任)

イ 規約


(3)規約の定めに基づく理事の互選によって法人を代表すべき理事を定めたとき

ア 集会の議事録 (理事の選任)

イ 規約

ウ 理事の互選書 (代表権のある理事の選任)


④設立時理事の就任承諾書(法26④ Ⅲ)

・押印する印鑑には制限がない(規則5)。


⑤共同代表の定めを証する書面(法26④ⅢI)

・共同代表の定めがあるときには、その定めを証する書面を添付しなければならないが、 数人の理事が共同して法人を代表すべきことを定めた規約又は集会の議事録が該当する。


⑥委任状(令25、商登法18)


⑦印鑑届(令25、商登法20)

・印鑑証明書(規則5、商登規則9)


規約の記載事項


規約の事項については、法30条に規定されているが、 具体的な事項についての定めがないものの、 法30条に加え以下の事項について定める必要があると考えられる。


①目的


②名称

・名称中には、 「管理組合法人」 という文字を必ず使用しなければならない (法48①)。


③集会に関する事項


④事務所の所在地

・従たる事務所も設置する場合は、主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。また、所在地は、 最小独立行政区まで記載すればよい。


⑤理事に関する事項

・理事は1人以上置かなければならない (法49①)。 また、 複数いる場合は理事各自が法人を代表するが、 規約若しくは集会の決議等によって法人を代表すべき理事を定めることもできる(法 49④⑤)。


⑥ 監事に関する事項

・監事は1人以上置かなければならず(法50①)、 集会の決議で選任する(法25①、 50④)。


⑦共同代表の定めに関する事項


⑧規約の変更に関する事項


備考


・区分所有者の団体(2名以上)は、法の定めるところにより、集会を開き、 規約を定め、及び管理者を置くことができる(法3).


・名称等の使用制限 (法48②)


・監事は、必置機関(法50) となっているが、登記事項とはなっていない。


管理組合法人の役員変更登記について


管理組合法人の役員変更登記についてです。


登記すべき事項


理事 1人以上(法49①)

・理事は原則、各自代表となるため、 法49④)、理事全員の氏名及び住所が登記事項となるが、規約若しくは集会の決議又は規約に基づく理事の互選によって代表すべき理事を定めた場合は、当該理事のみが法人を代表するので、当該理事の氏名及び住所が登記事項となり、 資格も理事で記載する(法49⑤)。


任期


原則、2年であるが、

規約において3年以内の別段の期間を定めた場合は、その期間となる(法49⑥)。


選任機関


規約に別段の定めがない限り、集会の決議(法498、 250).


・法人を代表する理事を選任する場合(法49⑤)

①規約

② 集会の決議

③ 規約の定めに基づく理事の互選


添付書面


①規約 (17①)

・選任方法、 互選規定を確認するため


②理事の選任を証する書面 (令17①)

・集会の議事録


③代表権を有する理事の選任を証する書面 (令17①)

・法人を代表する理事を選任する場合

規約、 集会の議事録、理事の互選書など


④理事全員の就任承諾書(各自代表の場合) (令17①)

・押印する印鑑についての制限はない。


⑤理事(理事長の分のみ)及び理事長の就任承諾書(法人を代表する理事を選任する場合) (令17①)

・押印する印鑑についての制限はない。


⑥印鑑証明書(規則5、商法規則61④)

・理事の選任議事録 (集会の議事録等)に押印された印鑑

各自代表の場合


・理事の互選書に押印された印鑑

法人を代表する理事を選任する場合


上記 ①② とも、法人代表印が押印されているときは除く。


⑦退任を証する書面(令17①)

・辞任届 死亡を証する書面(死亡届 戸籍謄本等)など


⑧印鑑届(令25、 商登法20、 規則5、 商登規則9)(印鑑証明書付))

・登録者が変更する場合


⑨委任状 (令25、 商登法18)


備考


共同代表の定めについては、規約若しくは集会の決議によって設定、変更、廃止することができる。


管理組合法人の管轄内での主たる事務所移転


管理組合法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


移転年月日

移転後の主たる事務所


決議機関


・規約の変更を伴う場合(定款で地番まで定めた場合)

集会の決議


・具体的住所及び移転年月日

原則、 業務執行の決定機関(理事の過半数) であるが、集会の決議でも差し支えない。


添付書面


・集会の議事録(令17①)

規約の変更を伴う場合


・理事の決定書又は理事会議事録 (令17①)


・委任状(令25、 商登法18)


管理組合法人の管轄外への主たる事務所移転


管理組合法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


旧管轄

 移転年月日

 移転後の主たる事務所


新管轄

 現に有効な登記事項全部

 移転事項


決議機関


・規約の変更

 集会の決議


・具体的住所及び移転年月日

 原則、業務執行の決定機関(理事の過半数) であるが、 集会の決議でも差し支えない。


添付書面


・集会の議事録(令17①)


・理事の決定書又は理事会議事録(令17①)


・印鑑届(令25、 商登法20、 規則5、 商登規則9)


・委任状(令25、 商登法18)


備考


・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。




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