事業協同組合の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・中小企業等協同組合法 (以下「法」という。)
登記手続法
↓
・法
・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)
・商業登記法(以下「商登法」という。)
・商業登記規則(以下「商登規則」という。)
事業協同組合の設立登記について
事業協同組合の設立登記についてです。
登記すべき事項
①事業(法84②I)
・事業協同組合の事業については、法9の2①及び ⑥ に規定されている事業の全部又は一部について、 行うことができる。
②名称(法84②Ⅱ)
③地区(法84②III)
地区の表示については、 行政区画をもって具体的に記載することを要し(例: 東京都千代田区の区域)、 その他の方法をもって記載することは妥当ではない (昭28.6.12民事甲1003民事局長回答)とされている。
④事務所の所在場所 (法84②IV)
・事務所とは、 主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、 従たる事務所を設置する場合は、 主たる事務所とともに従たる事務所も登記事項となる。
⑤出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額(法84②V)
⑥存続期間又は解散の事由を定めた場合(法84②VI)
解散事由については、法62① IVに該当する場合のみが登記事項となる。
⑦代表権を有する者の氏名、住所及び資格(法84② VII)
・登記事項は代表理事の氏名及び住所であるが、その前提として、 理事は3人以上置き (法35②)、 理事会で選任する (法36の8①)。
⑧公告方法(法84②VII)
⑨公告の方法が電子公告の場合は、当該情報が掲載されているウェブページのアドレス及び事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法について定款の定めがあるときは、 その定め(法 84②IX)
⑩組合が参事を選任したときは、参事の氏名及び住所並びに参事を置いた事務所 (法88 )
添付書面
・定款(法98②Ⅰ、 所轄庁の認証は不要)
・認可書(法103、 商登法19)
所轄庁 (行政庁)の認可が必要(法27の2①)
・代表権を有する者の資格を証する書面(法98②I)
①設立時理事の選任に関する書面
代表理事の前提である理事に選任されたことを確認するため添付する。
設立時理事は、 創立総会で選任されるので、 創立総会議事録が該当する。
②設立時代表理事の選任に関する書面(法98②I)
設立時代表理事は、 創立総会で選任された理事によって開催された理事会で選任されるので、 理事会議事録が該当する。
③理事(代表理事の分のみ) 及び代表理事の就任承諾書押印する印鑑についての制限はない。
・出資の総口数を証する書面 (法98②I)
① 金銭出資の場合
各組合員の出資引受書
②現物出資の場合
定款で現物出資の目的である財産に対して与える出資口数が記載されているので、 定款が該当する。
・出資第1回の払込みがあったことを証する書面(法98②Ⅰ)
① 直接組合に払い込んだ場合
代表理事が組合員に対して交付した出資払込金の領収書控
②金融機関に出資払込の取扱いを委託した場合
取扱金融機関の出資第1回の払込みがあったことの証明書
・現物出資の目的財産全部の給付があったことを証する書面(法98②I)
現物出资引継警、現物出資給付書等
・委任状(法103、 商登法18)
・印鑑届(法103、 商登法20)
印鑑証明書(規則5、 商登規則9)
定款の記載事項
絶対的記載事項 (法33①②)
①事業
②名称
名称中に、 「共同組合」の文字は必ず使用しなければならない。(法6①)
③地区
地区の範囲については、 組合が自由に決定することができる。
④事務所の所在地
従たる事務所も設置する場合は、主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。 また、所在地は、 最小独立行政区まで記載すればよい。
⑤組合員たる資格に関する規定
⑥組合員の加入及び脱退に関する規定
⑦資1口の金額及びその払込みの方法
⑧経費の分担に関する規定
⑨剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
⑩準備金の額及びその積立の方法
⑪役員の定数及びその選挙又は選任に関する規定
⑫事業年度
⑬公告方法
⑭共済金額又は再共済金額の削減及び共済掛金又は再共済料の追徴に関する事項
・相対的記載事項
法33③ほか
・任意的記載事項
上記以外で、 法令に違反しないもの及び公序良俗に反しないもの
備考
・名称等の使用制限(法6②)
・事業協同組合には監事、会計監査人(条件付き)を置くこととされているが、登記事項にはなっていない。
事業協同組合の役員変更登記について
事業協同組合の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
代表理事 (法36の8①)
任期
2年以内で定款に定める期間(法36①)
※代表理事の任期の定めはないが、前提となる理事の任期が2年以内とされているため。
・任期伸長規定(法36④)
定款によって、 任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結時まで伸長することが可能。
選任機関
理事会 (法36の8①)
※代表理事の前提である理事については、 総会又は総代会において選挙又は選任される。(法35③⑬).
添付書面
・定款(法99① )
任期伸長規定及び総代会の定めを確認するため
・理事の選任を証する書面 (法99①)
総会議事録又は総代会議事録
・理事長の選任を証する書面(法99①)
理事会議事録
・理事(理事長の分のみ)及び理事長の就任承諾書(法99①)
押印する印鑑についての制限はない。
・印鑑証明書(規則5、商法規則61④)
理事会議事録に押印された印鑑 (署名した役員全員分が必要。なお、代表印が押印されている場合は不要。)
・代表理事の退任を証する書面(法99①)
辞任届 死亡を証する書面(戸籍謄本等)など
・印鑑届(法103、 商登法20、 規則5、 商登規則9) ( 印鑑証明書付)
印鑑登録者を変更する場合
・委任状(法103、 商登法18)
備考
・理事は3人以上(法35②) 置き、 理事会で理事のうちから代表理事を選任する(法36の8①)。
・役員の欠格事由(法35の4②)
事業協同組合の管轄内での主たる事務所移転
事業協同組合の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
定款変更が伴う場合)
総会又は総代会
具体的住所及び移転年月日
理事会
添付書面
・定款(法99① )
総代会で決議した場合(総代会の定めを確認するため)
・総会議事録又は総代会議事録(法99①)
定款変更が伴う場合
・認可書(法103、 商登法19)
定款変更が伴う場合
・理事会議事録(法99①)
・委任状(法103、 商登法18)
備考
・事業協同組合の定款の変更については、 行政庁の認可によりその効力が生じる(法51②)。
事業協同組合の管轄外への主たる事務所移転
事業協同組合の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
定款
総会又は総代会
具体的住所及び移転年月日
理事会
添付書面
・定款(法99① )
総代会で決議した場合(総代会の定めを確認するため)
・総会議事録又は総代会議事録(法99①)
・認可書(法103、 商登法19)
・理事会議事録(法99①)
・印鑑届(法103、 商登法 20、 規則 5、商登規則9)
・委任状(法103、 商登法18)
備考
・事業協同組合の定款の変更については、 行政庁の認可によりその効力が生じる(法51②)。
・新管轄登記所用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
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