社会福祉法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

2023年8月6日日曜日

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社会福祉法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

 

社会福祉法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。


根拠法

・社会福祉法(以下「法」という。) 法施行令

・法施行規則(以下「法規則」という。)


登記手続法

・組合等登記令(以下「令」という。)

・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)

・商業登記法 (以下「商登法」という。)

・商業登記規則(以下「商登規則」という。)


社会福祉法人の設立登記について


社会福祉法人の設立登記についてです。


登記すべき事項(令2)


① 目的及び業務

・社会福祉法人が公益事業及び収益事業を行う場合は、当該公益事業及び収益事業を目的及び業務として登記する。


② 名称


③ 事務所の所在場所

・事務所とは、主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、 従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。


④ 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

・理事は法人を代表するので、 複数いる場合は各自代表となるので(法38)、 理事全員の氏名、住所を登記することになる。


・⑦のように理事長を定めた場合、当該理事のみが代表権を有するので、当該理事の氏名、住所

を登記することになるが、登記事項としての資格は「理事」である。


⑤存続期間又は解散の事由を定めたときはその事由

・解散の事由については、 法46①Ⅱに該当する場合のみ登記事項となる。


⑦資産の総額(令3⑥別表)

・資産の総額とは、法人の積極財産から消極財産を控除した純資産額のことをいう。


⑧代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め

・代表権を特定の事項に制限することや、 理事長(代表者)を定めて、他の者の代表権を剥奪する場合など


添付書面


・定款(令16②、 所轄庁の認証は不要)


・認可書(令25、 商登法19)

所轄庁 (都道府県知事、 政令指定都市の長、 中核市の長、 厚生労働大臣)の認可が必要


・代表権を有する者の資格を証する書面 (令16②)

設立時の役員は、定款の附則に定める (法31②) こととされているので、 定款が該当する。


・設立時理事の就任承諾書 (令16②)

押印する印鑑には制限がない。


・代表権の範囲又は制限に関する定めがある場合は、それを証する書面(令16③)

理事の代表権は、定款をもってこれを制限することができる (法38但書)ので、 定款がこれに該当する。


・資産の総額を証する書面 (令16③)

財産目録が該当する。


委任状(令25、商登法18)


・印鑑届 (令25、 商登法20)

印鑑証明書(規則5、 商登規則9)


定款の記載事項


・絶対的記載事項 (法4③)


① 目的


② 名称


③ 社会福祉事業の種類


④ 事務所の所在地

従たる事務所も設置する場合は、

主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。 また、所在地は、 最小独立行政区まで記載すればよい。


⑤役員に関する事項

理事3人以上、監事1人以上置か

なければならない。

理事の選任機関ついては、法上定

めがないので、 定款で定める。


⑥会議に関する事項


⑦ 資産に関する事項


⑧会計に関する事業


⑨ 評議員会を置く場合には、これに関する事項


⑩ 公共事業を行う場合は、その種類


⑪ 収益事業を行う場合は、その種類


⑫ 解散に関する事項


⑬ 定款の変更に関する事項


⑭公告の方法


備考


・名称には「社会福祉法人」の文字の使用を強制されていないので、 名称中に使用しなくてもよい。


・所轄庁については、以下の場

合を除き、 都道府県知事(法30①) となる。


① 法30条1項1号に該当する場合は、指定都市の長


②法30条1項2号に該当する場合は、中核市の長


③行う事業が2以上の都道府県の区域にわたる場合は、 厚生労働大臣 (法30②)


・法上の役員の人数は、理事3人以上、監事1人以上であるが、 設立の認可を受けるときの人数は、理事6人以上、 監事2人以上とされている。


社会福祉法人の役員変更登記について


社会福祉法人の役員変更登記についてです。


登記すべき事項


理事 3人以上 (法36①)

定款に代表権の範囲又は制限に関する定めがあり、理事のうちから理事長等の法人の代表者を選任したときは、当該理事長等のみを登記することになるが、 資格は理事として登記する。


任期


2年内 (法36②)


選任機関

定款で定めた機関(法律には選任機関の規定がないため、定款で定めることになる。)


添付書面


・定款 (令17①)

選任方法を確認するため


・理事の選任を証する書面 (令17①)

定款で定めた選任機関の議事録 (評議員会議事録、 理事会議事録など)


・代表権を有する理事(理事長)の選任を証する書面(令17①)

定款で定めた選任機関の議事録 (理事会議事録など)


・理事全員の就任承諾書 (令17①)

各自代表の場合

また、押印する印鑑についての制限はない。


・理事(理事長の分のみ)及び理事長の就任承諾書(令17①)

代表権の制限等がある場合

押印する印鑑についての制限はない。


・印鑑証明書(規則5、商法規則61④)

①理事の選任議事録に押印された印鑑

各自代表の場合

②理事会議事録に押印された印鑑

代表権の制限等がある場合

上記 ① ② とも、法人代表印が押印されてときは除く。


・退任を証する書面(令17①)

辞任届 死亡を証する書面(死亡届 戸籍謄本等) など


・印鑑届 (令25、 商登法20、 規則5、 商登規則9) (印鑑証明書付)

登録者が変更する場合


・委任状 (令25、 商登法18)


備考


・理事の人数は、各自代表の場合は3人以上必要である。 また、定款に代表権の制限等を定めた場合は、前提として、理事3人以上を置き、そのうちから理事長1人以上を選任することになる。


※理事については、 権利義務承継の規定がないので、後任者の選任がないまま任期満了した場合は、原則、 仮理事を選任後、 後任者を選任する必要があるが、以下の条件を満たしている

場合に限り、 退任した理事が後任理事を選任することができる (平成19.1.11民商30民事局長回答)。


① 仮理事の選任を待つことができないような急迫した事情がある・・・条件の確認のため議事録等 ( 「急迫な事情」 を記載する) へ記載を要する。

②退任した理事と法人との間の信頼関係が維持されていること・・・決議が有効にされていることにより推認される。議事録への記載は不要である。


社会福祉法人の管轄内での主たる事務所移転


社会福祉法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


移転年月日

移転後の主たる事務所


決議機関


定款変更を伴う場合(定款で地番まで定めた場合)

定款で定められた決議機関(評議員会又は理事会)


具体的住所及び移転年月日

定款で定められた業務執行機関 (理事会など)


添付書面


・定款 (17① )

決議機関及び決議要件の確認のため


・評議員会議事録(令17①)

定款で評議員会の決議を要すると定めた場合


・理事会議事録(令17①)


・委任状 (令25、 商登法18)


備考


事務所の移転に伴う定款変更については、所轄庁の認可は不要とされている(法43①、 法規則4① I)。 ただし、 所轄庁の変更が伴う事務所の移転の場合は、認可権者の変更も必要になるため、 定款変更の認可が必要となる。


社会福祉法人の管轄外への主たる事務所移転


社会福祉法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。


登記すべき事項


旧管轄

移転年月日

移転後の主たる事務所


新管轄

現に有効な登記事項全部移転事項


決議機関


定款変更

定款で定められた決議機関(評議員会又は理事会)


具体的住所及び移転年月日

定款で定められた業務執行機関(理事会など)


添付書面


・定款 (令17①)

決議機関及び決議要件の確認のため


・評議員会議事録(令17①)

定款で評議員会の決議を要すると定めた場合


・理事会議事録(令17①)


・印鑑届(令25、 商登法20、 規則 5、商登規則9)


・委任状(25、 商登法18)


備考


・事務所の移転に伴う定款変更については、 所轄庁の認可は不要とされている(法43①、 法規則4① I)。 ただし、所轄庁の変更が伴う事務所の移転の場合は、認可権者の変更も必要になるため、定款変更の認可が必要となる。


・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。




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