宗教法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・宗教法人法(以下「法」という。)
登記手続法
↓
・法、
・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)
・商業登記法(以下「商登法」という。)
・商業登記規則(以下「商登規則」という。)
宗教法人の設立登記について
宗教法人の設立登記についてです。
登記すべき事項(法52②)
① 目的
・宗教法人が公益事業及び収益事業を行う場合は(法6① ②)、当該公益事業及び収益事業の種類を目的区に登記しなければならない。
② 名称
③ 事務所の所在場所
・事務所とは、 主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、 従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。
④ 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人・非宗教法人の別
・設立する宗教法人を包括する宗教団体がない、いわゆる単立宗教法人であるときは、登記する
必要はない。
⑤ 基本財産がある場合には、 その総額
基本財産は、
ア 土地、建物その他の不動産、
イ 公債、社債その他の有価証券、
ウ 永遠保存の目的で積み立てされた財産、
エ 基本財産として指定された寄付金、
のうちから設定し、その評価額の総額を記載する。
⑥ 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
・登記事項は代表役員の氏名・住所であるが、 その前提として、責任役員を3人以上置き(法18①)、 規則で定めた選任方法又は責任役員の互選で代表役員1人を選任する(法18①②)。
⑦ 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る法23① I に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項
⑧ 規則で解散の事由を定めた場合は、その事由
⑨ 公告の方法
・公告の方法は、当該宗教法人の信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法であれば、いずれの方法によっても差し支えない (昭28.3.6民事甲346法務省民事局回答)とされている。
添付書面
・規則の謄本(法63②)
所轄庁の証明がある認証を受けたもの
・認証書の謄本(法63⑥)
所轄庁(都道府県知事又は文部科学大臣)の証明があるもの
・設立時責任役員の選任に関する書面 (法63①Ⅱ)
① 規則の附則に定めた場合
規則
② 規則の定めにより総代会等で選任している場合
総代会議事録等
・設立時代表役員の選任に関する書面 (法63②)
①規則の附則に定めた場合
規則
②規則の定めにより総代会等で選任している場合
総代会議事録等
③規則に特段の定めがない場合
責任役員会議事録又は責任役員の互選署
・包括宗教団体の長の承認書(法63②)
設立時代表役員について包括宗教団体の長の承認を要する場合
・責任役員(代表役員の分のみ) 及び代表役員の就任承諾書(法63②)
押印する印鑑についての制限はない。
・委任状(法65、 商登法18)
・印鑑届(法65、 商登法20 )
印鑑証明書(規則5、 商登規則9)
規則の記載事項
絶対的記載事項 (法12)
①目的
②名称
③ 事務所の所在地
従たる事務所も設置する場合は、主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。 また、 所在地は、最小独立行政区まで記載すればよい。
④ 設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、 その名称及び宗教法人・非宗教法人の別
⑤代表役員、責任役員、 代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、 資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、 責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項
⑥⑤に掲げるものの外、議決、 諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項
⑦法6条の規定による事業を行う場合には、その種類及び運営方法に関する事項
⑧基本財産、 宝物その他の財産の設定、管理及び処分、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項
⑨規則の変更に関する事項
⑩解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合は、その事項
⑪公告の方法
⑫⑤~⑩までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、 又は他の宗教団体によって制約される事項を定めた場合には、その事項
⑬①~⑫に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項
備考
・所轄庁については、 主たる事務所を管轄する都道府県知事(法5① ) であるが、以下の場合は文
部科学大臣となる(法5②)。
①他の都道府県に境内建物が存在する宗教法人
②他の都道府県に境内建物が存在する宗教法人を包括する宗教法人
③他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
・名称には 「宗教法人」 の文字の使用を強制されていないので、名称中に使用されてなくてもよい。
宗教法人の代表役員の役員変更登記について
宗教法人の代表役員の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
代表役員(法18①②)
任期
規則で定める期間(法12⑤)
選任機関
規則で定めた機関又は規則に定めがない場合は責任役員の互選(法18②)
※規則の定めの例
①規則に定められた宗教上の地位への就任をもって充てる方法
(充当制)
②包括宗教団体の長が任命する方法
(任命制)
③ 総代会等で選任する方法
添付書面
・規則(法63③)
役員の選任方法等を確認するため
・責任役員の選任を証する書面(法63③)
規則で定めた選任機関の議事録(総会議事録、総代会議事録)
・代表役員の選任を証する書面 (法63③)
①規則で定めた選任機関の場合
選任機関の議事録 (充当制: 責任役員会議事録、任命制: 承諾書又は任命書、 総代会等: 総代会議事録)
② 規則に定めがなく責任役員の互選の場合
責任役員会議事録
責任役員(代表役員の分のみ) 及び代表役員の就任承諾書(法63③)押印する印鑑についての制限はない。
・印鑑証明書(規則5、商法規則61④)
代表役員を選任した議事録に押印された印鑑 (署名した役員全員分が必要。 なお、 代表印が押印されている場合は不要。 )
・退任を証する書面(法63③)
辞任届 死亡を証する書面(死亡届 戸籍謄本等)など
・印鑑届(法 65、 商登法20、 規則5、 商登規則9)
(印鑑証明書付)
印鑑登録者が変更する場合
・委任状(法 65、 商登法18)
備考
・宗教法人の代表役員の選任方法は、 責任役員を3人以上(法18①) 置き、 規則で定めた選任機関又は責任役員の互選によって、責任役員のうちから代表役員1人を選任する(法18①②)。
・代表役員選任に関する印鑑証明書については、 包括団体の代表者が代表役員を任命する場合は、 包括団体代表者の印鑑証明書の添付は必要ない(昭42.12.8民四975民事局第四課長回答) されている。
宗教法人の代表役員代務者の役員変更登記について
宗教法人の代表役員代務者の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
代表役員代務者(法20)
※法20①②に該当する場合は、代表役員又は責任役員に代わって職務を行う代務者を置かなければならない。
任期
規則で定める期間
(法12⑤)
選任機関
規則で定めた機関(法20)
添付書面
・規則(法63③)
・代務者の就任の事由を証する書面(法63③)
・代務者の選任を証する書面(法63③)
.規則で定めた選任機関の議事録等
・代務者の就任承諾書(法63③)
・印鑑証明書(規則5. 商法規則61④)
代務者を選任した議事録に押印された印鑑
・印鑑届(法65、 商登法20、 規則5. 商登規則9)
(印鑑証明書付)
・委任状(法65. 商登法18)
備考
・代務者の就任事由を証するために、代表役員の辞任届 死亡診断書、3か月以上療養を要する旨の医師の診断書等を添付する。
宗教法人の管轄内での主たる事務所移転
宗教法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
規則の変更が伴う場合(地番まで定めている場合)
・規則で定められた決議機関(総会、総代会等)
具体的住所及び移転年月日
・事務の決定機関 (責任役員会等)
添付書面
・規則(法63③)
・認証書の謄本(法63⑥)
規則の変更が伴う場合
・規則で定められた決議機関の議事録(法63③)
規則の変更が伴う場合(総会議事録、 総代会議事録等)
・責任役員会議事録(法63③)
・包括宗教団体の承認書又は同意書(法63③)
規則の変更につき、 包括団体の承認又は同意が必要な場合
・委任状(法65、 商登法18)
備考
主たる事務所の移転に伴う規則の変更については、所轄庁(都道府県知事又は文部科学大臣)の認証を受けなければならない(法26①)
宗教法人の管轄外への主たる事務所移転
宗教法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
規則の変更
規則で定められた決議機関(総会、 総代会等)
具体的住所及び移転年月日
事務の決定機関 (責任役員会等)
添付書面
・規則(法63③)
・認証書の謄本(法63⑥)
・規則で定められた決議機関の議事録(法63③)
総会議事録、総代会議事録等
・責任役員会議事録(法63③)
・包括宗教団体の承認書又は同意書(法 63③)
規則の変更につき、 包括団体の承認又は同意が必要な場合
・印鑑届(法65、 商登法20、 規則5、 商登規則9)
・委任状(法 65、 商登法18)
で、名称中に使用されてなくて
もよい。
備考
・主たる事務所の移転に伴う規則の変更については、 所轄庁(都道府県知事又は文部科学大臣)の認証を受けなければならない(法26①).
・新管轄登記所用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
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