学校法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・私立学校法(以下「法」という。)
・法施行令
・法施行規則(以下「法規則」という。)
登記手続法
↓
・組合等登記令(以下「令」という。)
・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)
・商業登記法(以下「商登法」という。)
・商業登記規則(以下「商登規則」という。)
学校法人の設立登記について
学校法人の設立登記についてです。
登記すべき事項
①目的及び業務
・学校法人が収益事業を行う場合は、当該収益事業を目的及び業務として登記する。
・下記⑧の設置する私立学校等の名称は、目的区に記載することとされている。
(昭和39.10.27民事甲3463民事局長事務代理通達)。
②名称
③事務所の所在場所
事務所とは、主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、 従たる事務所を設置する場合は、主たる事務所とともに従たる事務所も登記事項となる。
④代表権を有する者の氏名、住所及び資格
・登記事項は、理事長の氏名及び住所であるが、その前提として、理事は5人以上置き (法35①)、そのうち1人を理事長として、寄附行為で定めた機関で選任する。
・また、⑥の定めがある場合で、 理事長以外の理事が代表権を有する場合は、⑥の定めとともに、当該理事の氏名及び住所も登記事項となる。
(平成17.3.3 民商496号民事局商事課長通達)。
⑤存続期間又は解散の事由を定めた場合
・解散事由については、法 50①Ⅱに該当する場合のみが登記事項となる
⑥ 代表権の範囲又は制限に関する定めがある場合は、その定め(令2⑥別表)
⑦資産の総額(3⑥別表)
・資産の総額とは、法人の積極財産から消極財産を控除した純資産額のことをいう。
⑧設置する私立学校、 私立専修学校又は私立各種学校の名称
添付書面
・寄附行為 (16②、 所轄庁の認証は不要)
・認可書(令25、 商登法19 )
所轄庁 (都道府県知事又は文部科学大臣)の認可が必要
・法人を代表すべき者の資格を証する書面
設立時の役員は定款の附則に定める (法30②) こととされているので、 寄附行為が該当する。
・設立時理事長の就任承諾書 (令16②)
押印する印鑑についての制限はない。
・代表権の範囲又は制限に関する定めを証する書面(令16②)
理事の代表権は、定款をもってこれを制限することができる (法37②)ので、寄附行為がこれに該当する。
・資産の総額を証する書面 (令16③)財産目録が該当する。
設置する私立学校、 私立専修学校又は私立各種学校の名称を証する書面(16③)
設置する私立学校等の名称は、 寄附行為の絶対的記載事項 (30①)であるので、 寄附行為が該当する。
・委任状 (令25、 商登法18)
・印鑑届(令25、 商登法20)
印鑑証明書(規則5、 商登規則9)
寄附行為の記載事項
・絶対的記載事項 (法30①)
① 目的
② 名称
③ その設置する私立学校の名称及び当該私立学校に課程、学部、 大学院、大学院の研究科、 学科又は部を置く場合には、その名称及び種類
④ 事務所の所在地
従たる事務所も設置する場合は、主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。また、所在地は、最小独立行政区まで記載すればよい。
⑤役員の定数、任期、選任及び解任の方法その他役員に関する規定
ア 設立時の役員は寄附行為の附則に定める(法30②)
イ 役員の選任機関については、法律の定めがないので、寄附行為で定める(法38)
⑥理事会に関する規定
⑦評議員会及び評議員に関する規定
⑧資産及び会計に関する規定
⑨ 収益事業を行う場合には、その事業の種類その他の事業に関する規定
⑩解散に関する事項
⑪寄附行為の変更に関する事項
⑫公告方法
備考
・所轄庁については、
① 私立学校及び私立高等専門学校
②①に掲げる私立学校以外の私立学校並びに私立専修学校及び
私立各種学校
③①に掲げる私立学校を設置する学校法人、
④②に掲げる私立学校を設置する学校法人及び法64④の法人
⑤①に掲げる私立学校と②に掲げる私立学校、私立専修学校又は私立各種学校とを併せて設置する学校法人に分類され、①、③及び⑤については文部科学大臣、② 及び④については、都道府県知事が所轄庁となる。
・名称には 「学校法人」の文字の使用を強制されていないので、 名称中に使用しなくてもよい
学校法人の役員変更登記について
学校法人の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
・理事長 (法35②、 37①)
・理事(法37② : 寄附行為に代表権の範囲又は制限に関する定めを置き、理事長以外の理事が代表権を有するとき。)
任期
寄附行為で定める期間(法30⑤)選任機関
選任機関
定款で定めた機関(法35②)
添付書面
理事長 (法35②、 37①)
・寄附行為(令17①)
選任方法を確認するため
・理事の選任を証する書面(令17①)
寄附行為で定めた選任機関の議事録(評議員会議事録、 理事会議事録など)
・理事長の選任を証する書面(令17①)
寄附行為で定めた選任機関の議事録 (理事会議事録など)
・理事(理事長の分のみ)及び理事長の就任承諾書 (17①)
押印する印鑑についての制限はない。
・印鑑証明書(規則5、商法規則61④)
理事長を選任した議事録に押印された印鑑 (署名した役員全員分が必要。 なお、 代表印が押印されている場合は不要。 )
・退任を証する書面(17①)
辞任届、 死亡を証する書面(死亡届、 戸籍謄本等)など
・印鑑届(令25、 商登法20、 規則5、 商登規則9) (印鑑証明書付)
印鑑登録者を変更する場合
・委任状(令25、 商登法18)
理事(法37② : 寄附行為に代表権の範囲又は制限に関する定めを置き、理事長以外の理事が代表権を有するとき。)
・寄附行為(17①)
寄附行為変更の決議機関の確認のため
・寄附行為の変更の決議機関の議事録 (令17①)
評議員会議事録、理事会議事録
・認可書(寄附行為の変更が伴うため)
・退任を証する書面(令17①)
辞任届、死亡を証する書面(死亡届 戸籍謄本等) など
・印鑑届(令25、 商登法20、 規則 5、 商登規則9) ( 印鑑証明書付)
印鑑登録者を変更する場合
・委任状(令25、 商登法18)
備考
・法人には、理事5人以上置き(法35①)、 そのうち1人を理事長
として、寄附行為で定めた機関で選任する (法35②)。
・理事の選任方法は以下の通り
① 設置する私立学校の校長
② 評議員のうちから、寄附行為に定める選任機関
③上記 ① ② 以外で、 寄附行為の定める選任機関
学校法人の管轄内での主たる事務所移転
学校法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
・移転年月日
・移転後の主たる事務所
決議機関
・寄附行為の変更(変更を伴う場合)
寄附行為で定められた決議機関(評議員会、理事会など)
・具体的住所及び移転年月日
寄附行為で定められた業務決定機関(評議員会、理事会など)
添付書面
・寄附行為 (令17①)
決議機関及び決議要件を確認するため
・評議員会議事録(令17①)
寄附行為で評議員会の決議を要すると定めた場合
・理事会議事録(令17①)
・委任状(令25、商登法18)
備考
・所轄庁の変更を伴う場合の寄附行為の変更については、 所轄庁の認可が必要であるが、所轄庁の変更を伴わない場合は、登記後に所轄庁へ変更の届出をすればよい(法45、 法規則4の3②)。
学校法人の管轄外への主たる事務所移転
学校法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部
移転事項
決議機関
・寄附行為の変更
寄附行為で定められた決議機関(評議員会、理事会など)
・具体的住所及び移転年月日
寄附行為で定められた業務決定機関(評議員会、理事会など)
添付書面
・寄附行為(令17①)
決議機関及び決議要件を確認するため
・評議員会議事録 (令17①)
寄附行為で評議員会の決議を要すると定めた場合
・理事会議事録(令17①)
・認証書 ( 所轄庁が変更する場合)
・印鑑届(令25、商登法20、 規則5、 商登規則9)
・委任状(令25、商登法18)
備考
・所轄庁の変更を伴う場合の寄附行為の変更については、 所轄庁の認可が必要であるが、 所轄庁の変更を伴わない場合は、登記後に所轄庁へ変更の届出をすればよい (法45、 法規則4の3②)。
・新管轄登記所用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
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