医療法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
医療法人の登記については、以下が根拠法令等になります。
根拠法
↓
医療法(以下「法」)、法施行令、法施行規則(以下「法規則」)
登記手続法
↓
組合等登記令(以下「令」)、各種法人等登記規則(以下「規則」)、商業登記法(以下「商登法」)、商業登記規則(以下「商登規則」)
医療法人の設立登記について
医療法人の設立登記についてです。
登記すべき事項
①目的及び業務
開設する病院診療所介護老人保健施設の名称及び開設場所も登記することになる
②名称
③事務所の所在場所
事務所とは主たる事務所及び主たる事務所の双方を指すので、従たる事務所を設置する場合は、主たる事務所ととも、に従たる事務所も登記事項となる
④代表権を有する者の氏名住所及び資格
登記事項は理事長の氏名住所であるが、その前提として原則理事は3人以上置き、定款または寄付行為で定める選任機関で医師または歯科医師である理事のうちから理事長一人を選任する。なお、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師または歯科医師以外の理事から理事長を選任することができる。
⑤存続期間又は解散の事由を定めた場合
⑥解散事由については法律に該当する場合のみが登記事項となる
⑦資産の総額
資産の総額とは法人の積極財産から消極財産を控除した純資産額のことをいう。
添付書面
・定款又は寄付行為
所轄庁の認証は不要
・認証書
所轄庁都道府県知事又は厚生労働大臣の認可が必要
・設立時理事長の選任に関する書面
設立時役員は定款又は寄付行為の附則に定めることとされているので、定款が該当する
・設立時理事長の就任承諾書
押印する印鑑についての制限はない
・資産の総額を証する書面
財産目録が該当する
・委任状
・印鑑届
・印鑑証明書
定款の記載事項
・絶対的記載事項
①目的
②名称
③開設しようとする病院診療所介護老人保健施設の名称及び開設場所
事務所の所在従たる事務所も設置する場合は主たる事務所のほかひなたの事務所も記載しなければならない。また、所在地は最小独立行政区まで記載すればよい。
④資産及び会計に関する規定
⑤役員に関する規定
設立時の役員は定款の附則に定める。役員の選任機関については法律の定めがないので、定款で定める社員、社団たる医療法人にあっては社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定
⑥財団たる医療法人にあっては評議員会及び評議員に関する規定
⑦解散に関する規定
⑥定款又は寄付行為の変更に関する規定
⑨公告の方法
備考
名称には医療法人、社団財団の文字の使用を強制されていないので、名称中に使用されてなくてもよい
理事長が医師又は歯科医師である理事がそうでないかを含めて、認可及び許可されているので、設立の登記申請書には医師等を証する書面の添付は不要である。
医療法人の役員変更登記について
医療法人の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
理事長
任期
2年以内
理事長の任期の定めはないが前提となる理事の任期が2年以内とされているため
選任機関
定款又は寄付行為で定めた期間法律
添付書面
・定款又は寄付行為
選任方法を確認するため
・理事の選任を証する書面
定款で定めた選任期間の議事録
社員総会議事録、評議員会議事録、理事会議事録など
・理事長の選任を証する書面
定款で定めた選任期間の議事録
理事会議事録など
・理事(理事長の分のみ)及び理事長の就任承諾書
押印する印鑑についての制限はない
・印鑑証明書
規則商業登記規則
理事長を選任した議事録に押印された印鑑証明、役員全員分が必要
なお、代表印が押印されている場合は不要
・医師免許又は歯科医師免許の写し
↓
医師または歯科医師である理事から選任した場合
・都道府県知事の認可書
↓
医師又は歯科医師以外の理事を選任した場合及び都道府県知事の認可を受けてひとりの理事を置く場合
・退任を証する書面
辞任届
死亡証する書面(死亡届、戸籍謄本等など)
・印鑑届
印鑑証明書付き
(印鑑登録者を変更する場合)
・委任状
備考
原則理事は3人以上おき、定款又は寄付行為で定めた選任機関で医師または歯科医師である理事のうちから理事長一人を選任する。
なお、都道府県知事の認可を受けた場合は医師または歯科医師以外の理事から理事長を選任することができる。
・理事については、権利義務承継の規定がないので、後任者の選任がないまま任期満了した場合は、原則、仮理事を選任後、後任者を選任する必要があるが、以下の条件を満たしている場合に限り、退任した理事が後任理事を選任することができる。
(平成19年1月11日民商30民事局長回答)。
①仮理事の選任を待つことができないような急迫した事情がある
→条件の確認のため議事録当(「急迫の事情」を記載する)へ記載を要する。
②退任した理事と法人との間の信頼関係が維持されていること
→決議が有効にされていることにより推認される。議事録への記載は不要である。
医療法人の管轄内での主たる事務所移転
医療法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
・移転年月日
・移転後の主たる事務所
決議機関
・定款又は寄付行為の変更が伴う場合
定款又は寄付行為で定められた機関
↓
社員総会、理事会、評議員会など
・具体的住所及び移転年月日
定款又は寄付行為で定められた業務執行機関
↓
社員総会、理事会、評議員会など
添付書面
・定款又は寄付行為
決議機関及び決議要件の確認のため
・社員総会の議事録または評議員会議事録
定款変更が伴う場合
・理事会議事録
・委任状
備考
主たる事務所の移転に伴う定款変更については、都道府県知事の認可は不要とされている
ただし、都道府県の変更が伴う事務所の移転の場合は認可権者の変更も必要になるため定款又は寄付行為の変更の認可が必要となる
新管轄登記所用の登記すべき事項は主たる事務所以外に変更がない場合は登記事項証明書を添付してもよい
医療法人の管轄外への主たる事務所移転
医療法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日と移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部と移転事項
決議機関
・定款または寄付行為の変更
定款又は寄付行為に定めた機関
社員総会、理事会、評議員会など
・具体的住所及び移転年月日
定款又は寄付行為で定めた業務決定機関
社員総会、理事会、評議会
添付書面
・定款又は寄付行為
決議機関及び決議要件の確認のため
・社員総会議事録または評議員会議事録
・理事会議事録
・認証書
所轄庁が変更する場合
・印鑑届
・委任状
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