遺産分割協議による相続登記についてのお話です。
・遺産分割協議による相続登記ではどんな書類が必要になるの?
・遺産分割協議書の書き方が知りたい。協議書の不動産の表示はどんなふうに書くの?
・遺産分割協議書が不要なケースはあるの?
・遺産分割と登記の対抗関係について知りたい。
こんな疑問をお持ちの方はぜひお読みください。
★遺産分割協議による相続登記で必要になる書類
遺産分割協議による相続登記を申請する場合に必要となる書類は次のとおりです。
原本の返却を希望する場合は、原本還付の手続をおこないましょう。
原本還付手続きとは、原本をコピーして、コピーの最後の余白に部分に、
「原本に相違ない。」
と奥書きをし、氏名を書いて、申請書に押印した印鑑を押します。
遺産分割協議
遺産分割協議書を自身で作成する必要があります。
法務局ホームページに見本があるので、これをいじって作成するとよいです。
内容としては、相続人全員により遺産分割協議が成立した旨及びその内容(相続財産を誰が承継するのか)を記載することになります。
相続登記申請のための遺産分割協議書であれば、不動産の表示は登記事項証明書の記載とおりにしましょう。
また、相続人の氏名住所は印鑑証明書の記載のとおり書きましょう。
押印は実印でします。
実印とは、印鑑証明書の印鑑です。
遺産分割協議書は、法務局に提出するのは1通ですが、
相続人の人数分、同じものを作成して、各自で保存しておくのがよいでしょう。
後の紛争防止のためです。
また、1通の遺産分割協議書に共同相続人全員が署名押印するのが普通ですが、
同じ内容の遺産分割協議書を作成して、相続人がそれぞれ署名押印したものでもオッケーです。
印鑑証明書
遺産分割協議書に添付した印鑑証明書については、期限の定めはありません。
ちなみに、登記実務では、実際に不動産を相続する人の印鑑証明書は添付しなくても登記できます。
不動産を相続する人は利益、相続しない人は不利益。だから、相続しない人は、印鑑証明書を付けなくてはいけないという感じです。
ですが、遺産分割協議が成立したことを確実に担保するため、後日の紛争予防のため、すべての相続人の方に実印で押印して、印鑑証明書を付けるのが普通です。
被相続人の戸籍謄本等
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍です。戸籍を遡って集めます。
市区町村の役所で相続手続きで使うので、連続したものが必要と伝えましょう。
連続した戸籍を集めると、被相続人の相続関係が確定できます。
なお、登記実務においては、出生こらの戸籍でなくとも生殖可能年齢から死亡時までの戸籍謄本等の提供でよいとされています。
生殖可能年齢は13から14歳ぐらいです。
また、相続関係によっては、集める戸籍が増えてしまうこともあります。
相続人が子以外だと少し面倒になります。
子どもが先に亡くなっていて、孫が相続人になる。
いわゆる、代襲相続です。
亡くなっている子どもの出生から死亡までの戸籍が必要になります。
亡くなっている子どもの相続関係を確定させる必要があるからです。
相続人が直系尊属の場合。
被相続人の子どもの出生から死亡までの戸籍が必要です。
子ども(被相続人から見て孫)がいれば代襲相続が発生するからです。
被相続人の子どもに子どもがいないことを証明する必要があります。
相続人が兄弟姉妹の場合。
このケースは大変てす。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍。
そして、被相続人の子の出生から死亡までの連続した戸籍。
被相続人の両親の出生から死亡までの連続した戸籍。
被相続人の兄弟姉妹を特定するには、被相続人の両親の戸籍を遡って確定させる必要があります。
相続人全員の戸籍謄本 被相続人の死亡後に発行されたものが必要です。
相続人は、被相続人死亡の日に生存していなくてはならないからです。
被相続人の除住民票または戸籍の附票
登記記録の住所とつながるものが必要です。
つながらないときは、権利証が必要になります。
申請人の住民票
住民票です。
実際に相続する人の分だけでよいです。
有効期限の定めはありません。
住民票には、マイナンバーは記載しないようにしましょう。
固定資産評価証明書
登録免許税の金額を計算するために必要です。
相続登記の登録免許税の計算は、
不動産の評価額✕1000分の4(0.4%)の金額です。
固定資産評価証明書は、相続登記を申請する年度のものが必要です。
(被相続人が死亡した日の年度のものではありません。)
相続登記で必要になる遺産分割協議書の書き方【法務省ホームページに見本あり】
遺産分割協議書の書き方については、法務局ホームページに見本があります。
見本のファイルをいじって自分用のものを作成しましょう。
遺産分割協議書の不動産の表示は不動産番号でよいの?
遺産分割協議書の記載方法
遺産分割協議書では,誰がどの財産を取得するかを記載します。
財産の表示の仕方は重要てす。
不動産については,遺産分割協議書を作成後,法務局で登記申請を行います。
一般に,土地については,遺産分割協議書に所在,地番を記載する必要があるとされています。
建物については,遺産分割協議書に所在,家屋番号を記載する必要があります。
これらは,土地・建物の登記事項証明書の見て正確に記載しましょう。
不動産番号について
登記事項証明書の右上部分には,動産番号が記載されています。
これは、不動産ごとに法務局がつけている番号です。
そのため、この番号で不動産ごとにつけられた番号なので,遺産分割協議書に不動産番号のみを記載しても,不動産の特定については問題ないようにも考えられます。
しかし,不動産番号は13桁の数字の羅列であるため,実際に何なのかわりません。
どれがどの不動産なのか相続人にはよくわからないというのが現実です。
そのため,実際には,遺産分割協議書に不動産番号だけを記載するといったようなことはしません。
また,土地の登記簿謄本には,所在,地番以外にも,地目,地積が,建物の登記簿謄本には,所在,家屋番号以外に,種類,構造,床面積が記載されています。
通常ほ、これらをすべて記載して不動産を特定します。
また、対象不動産が共有持分であれば、「持分2分の1」のように持分の表示もいれましょう。
「すべての不動産」との記載について
遺産分割協議の結果,ある相続人がすべての不動産を取得するといった協議が成立することもあるでしょう。
このような場合には,遺産分割協議書には,具体的に不動産の地番等を記載しなくても、「だれそれがすべての不動産を取得する」といった記載でも、大丈夫です。
相続登記で遺産分割協議書が不要なケース【法定相続分どおり、遺言書あり、遺産分割調停・審判、相続人が一人だけ】
遺産分割協議書が不要なケースは次の場合です。
・遺言書がある
・法定相続分での相続
・遺産分割調停・審判を利用
・相続人がひとりだけ
遺言書がある
被相続人の残した遺言書に基づき遺産分割を行う場合には、遺産分割協議書は不要です。
遺言書に基づき相続するからです。
登記手続きには遺言書が必要になりますが、
公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言以外の方法で遺言書を作成した場合は、裁判所で遺言書の検認手続が必要です。
そして、家庭裁判所が発行する検認済証明書が必要になります。
法定相続分での相続
対象となる不動産について、法定相続分で持ち分の登記を行う場合、遺言書も遺産分割協議書も必要ありません。
例えば、配偶者と子どもふたりの場合、
配偶者2分の1
子ども、それぞれ、4分の1
で登記をする場合。
これは、民法で定められた相続持分なので、遺産分割協議書が不要となります。
遺産分割調停・審判を利用
遺産分割協議では話がまとまらず、家庭裁判所の調停・審判にによる手続きをすることもあります。
調停の場合は調停調書、審判の場合は審判書が作成され、これらが登記手続きに必要になります。
なお、調停調書等から相続人全員が出席していることごわかれば、戸籍も不要になります。
相続人が一人だけの場合
普通なら、相続人が1人だけの場合、当然、他の相続人と話し合う必要がないことから、遺産分割協議書は必要ありません。
しかし、数次相続の場合に「遺産分割決定書」といった書面が必要になる場合があります。
遺産分割と登記→対抗関係について
遺産分割により権利を承継した場合、法定相続分を超えた権利を取得した相続人は、対抗要件(登記など)を備えなければ、法定相続分を超えた分の権利の取得を遺産分割後の第三者(他の相続人が当該相続財産を売却した場合の買主など)に対抗(主張)できません。
めんどうだから後で、 と思い、 不動産の相続登記手続をしていなかった場合には、
第三者に自己の権利を主張できなくなってしまう危険もありますので、早めの手続きをおすすめします。
自分で法務局で相続登記をしたいと考えている方へ
こちらをご参考ください
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