相続登記の手順をまとめました【自分でやりたい方向け】

2021年8月13日金曜日

相続登記

t f B! P L
相続登記の手順をまとめました【自分でやりたい方向け】

「相続登記、自分でやりたい、どうやったらいいの?手続きの流れは?どんなふうにすすめたら?」 こんな疑問にお応えします。
この記事では、相続登記を自分でやるための基礎知識をまとめています。

記事を読むことで、相続登記のやり方が分かります。

ご参考ください。

そもそも「相続登記ってなんだ?」という方は、こちらの記事をどうぞ
 ↓


それでは、相続登記のやり方についてです。

主な作業の流れは以下のとおりです。

相続登記の手順


相続登記のやり方はつぎのとおりで、必要書類集め、登記申請書を作り、法務局に提出という流れになります。
 
・必要書類の収集、作成

・登記申請書の作成

・法務局に登記申請

・完了書類を受領

必要書類の収集、作成


必要書類は次のとおりです。
  

・登記事項証明書

・亡くなった方の出生からの死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本

・亡くなった方の戸籍の附票

・相続人全員の戸籍

 ・不動産を相続する方の住民票(戸籍の附票でも可)

 ・相続関係説明図

 ・固定資産税の評価証明書

 ・収入印紙

 ・遺言書(遺言書がある場合)

 ・遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)(遺産分割協議をした場合)



必要書類は上記のとおりですが、まずは亡くなった方が遺言書を残しているかどうか確認しましょう。

遺言書の有無により、必要書類や必要な手続きが若干変わってきます。

大きく以下の3つのパターンにわかれます。


・遺言書に基づく登記

・遺産分割協議による

・法定相続による


遺言書があれば、遺言書に従った内容で相続登記をします。

遺言書がなく、相続人で話し合いをして誰が相続をするのかを決めるのであれば、遺産分割協議書を作成し、これに基づく相続登記をします。

遺言書もなく、民法で定められた持分どおりで登記するなら、法定相続の持分で登記をします。

まずは亡くなった方が遺言書を残しているかどうか確認しましょう。


さて、相続登記にはたくさんの書類を集める必要がありますがひとつずつ確認していきましょう。

登記事項証明書


法務局で取得します。

登記事項証明書には、不動産の地番や地積、誰が所有者なのかなどにが記載されています。 亡くなった方が所有していた不動産がどのように登記されているか確認します。 亡くなった方が所有していたと思っていたら、亡くなった方のお父さんの名義のままだったなんてこともあります。

そんな場合には必要書類も変わってきます。

この後、登記申請書や遺産分割協議書を作成するのですが、この登記事項証明書の情報が必要になります。

登記事項証明書を取得するには、土地であれば「地番」、建物であれば「家屋番号」を特定して、法務局に請求する必要があります。地番と家屋番号は住所とは違うもので、法務局が土地、建物ごとにつけている番号です。

地番・家屋番号を知る方法 登記済権利証、登記識別情報通知(権利証)で確認できます。固定資産税の納税通知書をみてもわかります。どちらもないけれど、住所がわかるか、地図を見て場所が特定できるなら、法務局で調べることができます。

詳しくはこちら
 ↓


また、相続登記をする対象不動産に漏れがないように注意しましょう。

相続登記をする際に、土地や建物の手続きが一部漏れてしまうケースが稀にあります。


 例えば、

・自宅の敷地が1つの土地だけだと思っていたら、複数の筆に分かれていた 

・家の前の道路が私道で、それを近隣の方と共有持分でもっていた


法務局の登記記録は、手続きしなければそのままの状態で残ってしまいます。

上記の手続き漏れがないようにするには、権利証や納税通知書を探し、確認することが重要です。

どうしても見つからない方はや、市町村から名寄帳を取り寄せるなどの方法もあります。名寄帳は、課税の対象となっている固定資産(土地・家屋)を所有者ごとに一覧表にしたものです。亡くなった方が所有していた不動産を知ることができます。

亡くなった方の出生からの死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本


名義人であった方が遺言書を残していなかった場合は、相続人全員が手続きに関与することが必要になります。

★法定相続人の詳細はこちら
 ↓


亡くなった方の出生からの死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本を収集し、調査することで、相続人を特定し、相続関係を確定させることができます。

ごく稀に、自分の知らない人物が相続人として登場してきたりします。

取得の手順ですが、 まずは、亡くなった方の本籍地の市区町村で戸籍謄本を請求します。

そして、必要によりそこから過去のものへと遡っていきます。

結婚前の親の戸籍に入っていたものに遡り、さらに昔のものに遡っていくことになります。

この戸籍の収集作業が一番面倒なところになると思います。

戸籍謄本にはいろいろな種類があります。

・戸籍謄本
・改製原戸籍
・除籍謄本

書類の名称は気にせず、

「相続手続きで、出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本が必要です」と言い、役所で請求しましょう。

なお、相続関係により、亡くなった方の戸籍だけでは足りないパターンもあります。

亡くなった方の戸籍の附票


戸籍の付票とは、住所の履歴が記載された書類になります。 

「登記事項証明書に記録された人物」と「戸籍に記録された人物」が同一であることを証明するために必要になります。

戸籍には「本籍」と「氏名」の記載しかなく、「住所」は記載されていません。一方、登記事項証明書には「住所」と「氏名」しか記載がなく、「本籍」の記載はありません。戸籍の附票には「本籍」・「住所」・「氏名」の記載があるので、戸籍と登記記録のつながりをつけることができるのです。

相続人全員の戸籍


相続人の戸籍謄本については、被相続人(亡くなられた方)の死亡日以降に取得します。

前に取ったものがあってもダメです。

死亡日前に取得した戸籍ですと、被相続人が死亡した時点で、相続人が生きているか確認できないからです。もし、亡くなった方より前の日付で死亡しているなら、代襲相続の問題も発生します。

不動産を相続する方の住民票(戸籍の附票でも可)


実際に不動産を相続する方の住民票が必要です。

相続関係説明図


相続関係説明図はこんな図です。


自身で作成する必要がありますが、法務局のホームページに見本があります。

相続関係説明図を作成し提出すると、集めた戸籍関係書類を、法務局の手続きが完了した後に返却してくれます。

ほかの手続きでも戸籍が必要になりケースがあると思いますので、相続関係説明図を作成して返してもらいましょう。

固定資産税の評価証明書


法務局で相続登記をする際に、登録免許税という税金がかかります。

これを自分で計算する必要があるのですが、評価証明書の不動産価格をもとに計算します。

価格の1000円未満を切り捨てた金額の0.4をかけ、100円未満を切り捨てた金額です。

土地の価格について、固定資産評価証明書の評価額が8,377,800円の場合、課税価格が8,377,000円になります。

これに、1000分の0.4をかけます。

8,377,000円×1000分の4=33,508

100円未満は切り捨てなので、33,500円ということになります。

固定資産評価証明書は、東京都23区内の不動産であれば都税事務所で取得します。
東京都以外の道府県、東京23区以外の不動産の場合は、市区町村役場で取得することになります。
手数料は、自治体により異なるので確認しましょう。東京都23区内の不動産の場合は1通400円です。
また、かならず最新の年度のものが必要となりますので注意してください。 
固定資産評価証明書は、毎年4月1日になると最新のものになります。
例えば、令和3年4月1日以降に登記手続きをするときは、令和3年度の評価証明書が必要になります。令和2年度の評価証明書は令和3年3月31日までしか使えません。

収入印紙


計算した登録免許税は収入印紙で納ます。

登記申請書を作るのですが、これに収入印紙を貼って申請するかたちとなります。

遺言書(遺言書がある場合)


遺言書がある場合、公正証書遺言及び法務局で保管する自筆証書遺言以外の遺言書の場合には、家庭裁判所での検認手続を受け、その検認済証明書が付いているものが必要になります。

遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)(遺産分割協議をした場合)


相続人全員より遺産分割協議書に署名押印 登記申請書も法務局ホームページにあるものを利用しましょう。 法務局 

登記申請書を作成する


登記申請書も法務局ホームページにあるものを利用しましょう。


法務局へ申請


作成した申請書、集めた書類と合わせて法務局へ申請します。

申請書の作成ができたら、印刷をして、「印刷した申請書」、「収入印紙を貼った用紙」を順番にまとめて、左側をホッチキスで止めます。

相続人が申請書に印鑑を押します。

認印で大丈夫です。

最後に、全ページのつづり目に契印をします。

完成です。

作成した申請書と必要書類(添付情報のところで記載した書類)を法務局に提出します。

提出の方法ですが、直接、法務局の窓口で書類を提出することもできますし、郵送で法務局に送付することもできます。

法務局の窓口で書類を提出する場合には、登記申請の受付窓口がありますので、そこで書類を提出します。

郵送で法務局に送付する場合には、封筒に、宛先と「不動産登記申請書在中」と記載して送付しましょう。

普通郵便でもよいかと思いますが、簡易書留等の記録が残るものがよいと思います。

窓口で提出、郵送による送付のいずれも可能ですが、窓口での提出をおすすめします。

法務局には、一般の方のために、登記手続案内という窓口があって、登記相談員という方が書類の確認をしてくれます。

事前予約制になっていますので、あらかじめ予約をしてから、出かけて下さい。

また、登記申請をして、登記手続きが完了するまでに、だいたい1週間ぐらいかかります。

法務局によって異なります。

その場ですぐには終わりませんので、注意して下さい。

書類提出時に、この登記完了予定日を確認しましょう。

この登記完了予定日までに、法務局から書類の訂正等の連絡がなければ、登記が無事に完了します。

なお、登記が完了しても、法務局から個別に、完了した旨の連絡はありません。

登記完了予定日までに、法務局から書類の訂正等の連絡がなければ、無事に完了していると思って大丈夫です。

完了書類受領


書類に不備がなく、手続きが終わると、法務局から登記識別情報と登記完了証という書類が交付されます。

「登記識別情報」はいわゆる昔の権利証に相当するもので、「登記完了証」は文字通り、登記が無事に終わりました、という書類です。

受取方法ですが、①法務局の窓口で受取る方法と、②郵送で受取る方法があります。

①法務局の窓口で受取る場合 

登記完了予定日を過ぎたら、登記の申請の際に作成した申請書に押した印鑑、身分証明書(運転免許証等、その他の本人を確認することができる文書)を準備して法務局に行きましょう。

そして、申請するときに、書類を提出した受付窓口に行き、「相続の申請をして、完了書類を受取りに来ました。」と係の人に声をかけて下さい。

係の人が本人確認をした後に、書類を受取ることができます。

これで、手続きが完了です。

②郵送で受取る方法

申請をするときに、提出する書類の他に、切手を貼った封筒をいっしょに提出します。

郵送の方法は、本人限定受取郵便というものになりますので、その分の切手を貼って下さい。

また、作成した申請書の適宜の場所に次のように記載してください。

「申請人の住所へ送付の方法により登記識別情報通知書、登記完了証の交付を希望します。」  相続登記が完了すると、法務局から、提出した封筒で完了書類が郵送されてきます。

これで、手続きが完了です。

おわりに


以上で、説明は終わりですが、相続登記は難しい登記手続きだと思います。

放置しておくと、相続人に更に相続が発生するなどして、権利関係が複雑になってしまい、手続が困難になってしまいます。

ですので、なるべく早めに手続きを済ませるようにしましょう。

よく分からない、面倒くさい、時間がないという方は、司法書士に依頼しましょう。

費用はかかりますが、すべて手続きをやってくれますので、安心です。


このブログを検索

QooQ