父母の死後、引きこもりの兄と妹の遺産相続はどうなるのか

2021年4月24日土曜日

相続について

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父母の死後、兄妹の遺産相続はどうなるのか
■悩み■
父の相続に関して、悩みがあります。

父と母は、私が30半ばになった際に、両方共に、職場を定年退職する形となりました。

兄は自宅に引き込もっていて、将来どうするのか分からないままです。

最初に就職した工場を辞めてからは、何もしていなく、親の稼ぎをあてにしている状態です。

妹としても、非常に気になっています。

こんな状態で、父と母が60代中盤にさしかかり、私の主人が定年退職を迎える頃には、二人とも、他界するかどうかという所まできてしまうと思います。

そのような直前になった際に、当然、遺産相続の話が出ると思うのですが、順当に行けば兄が資産を全てもらい受ける形になるのでしょうか?

それか父と母の遺言があれば、娘への配当と言う形で遺産相続について、土地と資産を公平に分け与えてくれるような形になるのでしょうか?

それとも、やはり長男が財産の権利を得ることになるのでしょうか?

非常に気になっております。


法定相続人とは


両親の死後、引きこもりの兄と配偶者のある妹の2人が残される場合の遺産相続についてですが、遺産相続には民法で定められた「法定相続人」が存在します。

法定相続人とは、民法上、遺産を相続する権利のある人を指します。

このケースの場合、たとえば、父が亡くなれば、母と2人の子供が法定相続人になります。

母が亡くなった場合は、父と2人の子供が法定相続人です。

従って、民法上、両親の遺産を兄だけが相続することはありません。

相続順位と法定相続分


法定相続人は、民法の定める相続の順位及び法定相続分に従って、亡くなった方の遺産を相続します。

亡くなった方に配偶者がいる場合は、配偶者は、常に相続人となります。

亡くなった方の子供は、第一順位の相続人になります。

今回のケースでは、兄と妹が、同等の立場で第一位の相続人となります。

法定相続分は、遺産をもらえる割合のことです。

配偶者は遺産の2分の1を、残りの2分の1を兄と妹が同じ割合で相続します。

たとえば、今回のケースで父が亡くなり遺産が1,000万円だったとすると、配偶者である母の相続分は500万円、兄と妹が残りの500万円を250万円ずつ相続することになります。

その後、母が亡くなった場合には兄と妹の2人が法定相続人となり、民法上、母の遺産の2分の1を、それぞれ相続する権利があります。

なお、以上は民法上の目安でして、遺言書がないときは、遺産分割協議を開いて相続人全員で話し合って相続分を決めます。

この場合、法定相続分に従う必要はありませんが、相続人全員の合意が必要となります。

両親が亡くなり、仮に兄が1人で全財産を相続したいといっても、妹が合意しなければ相続することはできません。

遺言書がある場合


遺言書がある場合は、基本的には遺言書に従って遺産を分割、相続します。

しかし、相続人全員の合意の下、相続人全員で協議して遺産を分割し、相続することが認められています。 

ただし、亡くなった方の兄弟姉妹以外の相続人には、民法で「遺留分」というものが認められています。

「遺留分」というのは、相続人の中で一定の範囲の人たちに、最低限の相続財産の取り分を保障するもので、相続開始とともに財産の一定割合を取得できます。

相続人が父母や祖父母のみの場合を除いて、相続人の遺留分は法定相続分の2分の1となります(全体の遺留分)。

今回のケースで、父が先にが亡くなっており、母の遺産が500万円だったとすると、兄に全財産を残すという遺言書があったとしても、妹にも遺留分の125万円を受け取る権利があります。125万円は最低限、相続できるということです。

500万円×1/2=250万円(←全体の遺留分)

250万円×1/2=125万円(←個別の遺留分)

遺留分について詳しく知りたい方は
 ↓
遺留分とは?遺言でも侵害できない相続人の最低限の権利

遺産相続の権利について知り適切な相続を


旧民法には家族に対して強い力と責任を持つ戸主が存在しました。

戸主は主に長男で、家督相続により戸主が1人で家の全財産を相続していました。

現在は、きょうだいには遺産相続に関して同等の権利が認められています。

遺産相続で困ったら、思い込みで決めたり悩んだりしないで専門家を頼り、適切なアドバイスを受けて自分の権利を守りましょう。


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