【長男が家を継ぐ?】不公平感のない相続を目指しましょう

2021年5月1日土曜日

相続について

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【長男が家を継ぐ?】不公平感のない相続を目指しましょう
■悩み■
両親は健在ですが、80歳を過ぎて、将来の相続が気になってきました。

私は長男で、弟と妹の3人兄弟です。

それぞれ、結婚しており、実家から離れた場所に一軒家を購入し暮らしています。

実家は、郊外の旧市街地の中にあり、自宅とアパート1棟を所有しています。

町内会であったり、お寺の檀家の付き合いが、まだまだ残っている地域になります。

先日もお寺のお堂の建て替えとかで、100万円近いお布施を支払っています。

長男ですので、家を継ぐことになるのだと思ってはいます。

といっても、事業をしている訳ではないので、主には町内会であったり、お寺の檀家組合のようなものを引き継ぐのかと思っています。お墓もありますし。

となると、お布施などの金銭負担と町内会、檀家の役員、世話役といった役割にも結構な時間と費用がかかってくることの懸念を持っています。

相続は、兄弟で均等に分割することは理解していますが、必ずしも長男が家を継ぐ必要性もないように思えています。

お墓の管理のような時間や費用の負担も覚悟しなければいけないからです。

こうなると、均等に分割することは逆に不公平のようにも感じる部分もあるのですが、相続時に、こういったことを考慮した分割というのは可能なのでしょうか?

争いになることだけは避けたいと考えています。


将来発生しうる費用をどう見積もるか


相続においては均等分割が民法の基本ですが、相続に関係する人全ての合意が出来れば必ずしも均等にしなくてもよいです。

例えば、親御さんの介護など面倒をみてくれていた兄弟により多くの財産を相続させるとか、実家に住んでいる家族には土地建物を相続させるなどで、結果として金額的には均等にならないという場合もよくあります。

今回のご相談の場合、町内会や檀家の役員などのいわゆる地域のお付き合いが結構発生するだろうと考えておられるようで、出費があったり時間を取られたりといった事が発生するのをご心配されていますので、分割額の調整をする理由にはなりそうにも見えます。

しかしながら、大きな意味でのこうした費用をどう見積もるのかは正直なところ非常に難しい問題です。

相談者様は実家のある地域やお寺との関係を継承する事を「家を継ぐ」とお考えのようですが、こうした考えを弟さん、妹さんが必ずしも理解してくれるとは限りません。

具体的な例として、お布施を100万円お支払いになられたというお話がありますが、お布施とは、形式上はあくまで檀家側の気持ちであって、お父様がお支払いになっていたからといって、相談者様も同じように支払わなければならないというものでもありません。

現在、既に町内会や檀家の役員をお父様から一部でも継承されているのであれば別ですが、独立されて、実家にはお住まいではないという事情も考慮すると、必ずしもこうした行事ごとを継承される必要もないのではないでしょうか。

仮に、相談者様がこうした地域やお寺の役務が将来発生する事を相続額の調整に反映して欲しいと主張したとしても、弟さんや妹さんが先ほど書いたような主張をすれば話はまとまりません。

非居住不動産の相続時の注意点


日本人の資産で大きなウェイトを占めているのが不動産で、相続の時も現預金はあまりなくて、不動産だけがあるといった場合の分割は非常に大変です。

前述のように相続人全てが合意してくれればいいのですが、そうでなければ均等分割のために不動産は売却するしかありません。

今回のご相談の場合には、ご長男なので「家を継ぐ」というお気持ちが強いようですが、実際問題からすると、ご実家を売却しないとスムーズな相続は難しいように思われます。

また、事業はやっていないとおっしゃっていますが、お父様はアパートを所有されているのでこれは立派な事業です。

アパート経営は家賃収入も見込めますが、補修など費用もかかります。

そのため、それなりにリスク資産であるとも言えますが、相続時にはあくまで不動産の資産価値だけで金額が判断されます。

既にご自宅もお持ちですから、今後、実家に住むという選択肢もないでしょう。

これらを考えると「家を継ぐ」という事にあまりこだわらず、不動産資産を売却してご兄弟で均等分割された方が、ご家族にとって一番良い選択肢であるように思えます。

相続ではお金に替えられない価値も見極めて


日本では「家」を長男が相続するという気分はまだ残っていますが、地縁関係が希薄化している昨今ではこうした風習に必ずしもこだわる必要はないでしょう。

お父様からすれば、これまで続けて来た地域やお寺のまつりごとの継承が絶えるのは寂しい事かもしれませんが、そのために子供たちが互いに争う事は決して望まれないでしょう。

争いのないスムーズな相続こそ、一番の親孝行と言えるのではないでしょうか。



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