遺言の作成について

2022年9月4日日曜日

生前対策

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遺言の作成について
遺言を残すことで残される親族等に自分の意思を伝えられます。

・自分の面倒を見てくれた 長男に全財産を渡したい。

・相続人ではない人に自分の財産をあげたい。


 など、相続後の手続きに自分の思いを反映させることができます。

相続に備えて、遺言書を作成する。

生前にできる対策として、最も代表的な方法です。

遺言について、確認しましょう。

遺言の種類について


一般的に遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。 

自筆証書遺言


自筆証書遺言は、遺言者が全文 日付及び氏名を自署し封印する必要があります。

ただし、財産目録は パソコンで作成したものや 不動産謄本や通帳のコピーを添付する形などでもよいことになりました。

公証人の関与は不要で、自身で作成できます。

費用もかかりません。

その反面、専門家が関与しないため内容や様式に不備が生じる可能性があります。

偽造や変造のリスクがあります。

また、遺言者の死亡後には、原則として家庭裁判所で遺言書の検認手続きが必要です。

公正証書遺言


公正証書遺言は公証役場で作成します。

証人2名の立会いのもとで、公証人が作成します。

公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。

作成に手数料がかかります。

遺言者の死亡後に家庭裁判所での検認手続きが不要です。

原本は公正役場で保管されます。

偽造や変造、破棄のリスクがありません。

生前にできる対策として、公正証書遺言の作成は最も有効なものとして認知されています。

秘密証書遺言


秘密証書遺言は、内容を誰にも知られることなく、その遺言が本人の遺言書であることを証明してもらうものです。

秘密証書遺言は、少しわかりづらいです。

作成手順は次のとおりです。

①遺言の本文を作成する

遺言書の作成は、パソコンを使用してもよいですし、本人が書かなくても可です。

署名と押印は遺言者自身がする必要があります。


②遺言に封をして公証役場へ持参する

遺言書に封をしてから押印し、公証役場に持参します。 

そして、公証人と証人2名に、その封書が自己の遺言書である旨を申述します。

封してあるので、中身はわかりません。


③遺言を持ち帰り、自分で保管する

公証役場で手続きが終わったら後は、自分で保管します。

誰にも内容を知られずに作成することができるのがメリットですが、自筆証書遺言と同様に、内容や様式に不備が生じる可能性はあります。

また、遺言者の死後、遺言書の検認手続きも必要です。

遺言の効果


遺言を作成し、相続分を指定することで、法定相続分以外の割合で財産をあげたり、特定の遺産を特定の相続人や相続人以外の人へあげたりすることが可能になります。

ほかにも遺言書で、認知や、相続人の廃除、遺言執行者を指定等をすることができます。

自分の死後に遺言を実現してくれる遺言執行者


遺言執行者が遺言を実現します。

遺言の内容には、認知、遺贈、推定相続人の廃除又はその取り消しのように、実現するための行為を必要とするものがあります。

民法1012条は、遺言執行者には「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権限」を認めています。

遺言執行者は遺言者ので定めることができます。

遺言執行者を複数名指定しておくことも可能です。

また、第三者に遺言執行者の指定を委託したりすることができるのです。

遺言執行者の指定は遺言の中だけで認められています。

生前に取り決めても無効です。

なお、遺言で指定を受けた人が遺言執行者を辞退することもできます。

遺言に遺言執行者の指定がない場合もあります。

遺言執行者が辞任することもあります。

その場合は、相続人や利害関係人が家庭裁判所に選任の請求をすることができます。

遺言の撤回や変更など書き直し


遺言者は何度でも書き直すことができます。

・遺言はを残した後に状況や気持ちが変わる。

・財産をあげようと思っていた相続人が亡くなってしまった

・相続人にあげるつもりだった財産を処分したとき



こんな場合など、いつでも遺言は書き直して、撤回することができます。

遺言の撤回するためには、再度、新しい遺言者を作成します。

遺言書は新しいものの内容が優先されます。

自筆証書遺言であれば、遺言書の作成者が遺言書を破棄することで撤回することもできます。

財産をもらう人が先に死亡した場合について


遺言では、財産を相続する人を決めることができます。

指定されたひとが遺言をした人より先に亡くなってしまう場合もありえます。

その場合は、その部分の遺言は効力を失います。

もらうことになっていた人の相続人がもらえるということもありませんので注意。

以下のような予備的な遺言は有効です。 


遺言者の死亡より前に死亡した場合にはA(別の人)に相続させる

認知症になってからの遺言作成


認知症なってから遺言の作成はできません。

遺言書を作成するためには、年齢が15歳になっている必要があり、さらに、法律上、意思能力がある必要があるからです。

意思能力とは、遺言の内容を具体的に決定し、判断できるような能力のことです。

認知症と診断されても、初期段階で、この能力があれば作成できます。

しかし、微妙な状況で作成した遺言は、後日、争いの原因になることもあります。

ほんとにその遺言は有効なのか?

多くは遺言者が亡くなった後に、相続人から遺言の有効性について争われたときに問題が顕在化します。

遺言書は、そのような争いの余地がない時期に作成するようにしましょう。





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