自筆証書遺言書保管制度について

2022年9月11日日曜日

生前対策

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自筆証書遺言書保管制度について

新たに始まった自筆証書遺言書保管制度をご存知でしょうか?

自筆証書遺言は公証人などの関与が必要なく、費用もかからず自分だけで作成できます。

手軽にできるというメリットがあります。

一方で次のようなデメリットがあります。

・作成した遺言書が無くなってしまう。破棄されてしまう。

・偽造や変造の恐れがある

・死亡後に家庭裁判所で検認の手続きが必要


これらのデメリットを改善し、活用しやすくするため、令和2年7月10日から自筆証書遺言保管制度が始まりました。

これは簡単に言うと、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度です。

自筆証書遺言書保管制度の概要


遺言者が自筆証書遺言を作成し、法務局(遺言書保管所)に保管を申請します。

遺言者は保管された遺言書の閲覧ができます。

法務局(遺言書保管所)は原本を保管し、 画像データ化します。

相続開始後、相続人等の関係者は、遺言書の保管の有無に関する証明書の交付を請求できます。

また、遺言書の写し、遺言書情報証明書の交付、遺言書の閲覧をすることができます。

他の相続人には、相続人に遺言書の証明書を交付した時などに、法務局(遺言書保管所)から他の相続人等に遺言書の保管していることを通知します。

自筆証書遺言保管申請の方法


自筆証書遺言を作成します。

作成できたら法務局(遺言書保管所)に遺言書の保管を申請をします。

 

どこの法務局で?

申請できる法務局は決まっています。

・遺言者の住所地

・遺言者の本籍地

・遺言者の所有不動産の所在地


の遺言保管所に指定されている法務局になります。

どこの法務局でもよいわけではないので注意です。

近くに法務局の出張所があっても、遺言保管所になっていなければダメです。

下記で確認しましょう。
  

必ず本人が出頭

この申請は、遺言を作成した本人が管轄の法務局に出向いて行う必要があります。

家族が代理人や使者として行うことは認められていません。


予約が必要

申請には予約が必要です。

また、申請に限らず、自筆証書遺言保管制度に関連する手続きについては、電話などでの予約が必要とされていますので注意。
  

自筆証書遺言の保管と閲覧


申請された自筆証書遺言の原本は法務局(遺言書保管所)で保管されます。

また、原本をPDF化して、データとしても保管もします。

火災や震災など原本が滅失してしまう危険があるからです。

遺言者は、遺言書保管所で遺言書の閲覧の請求をすることができます。

原本の閲覧は、原本を保管した遺言書保管所でのみ可能です。

データ化したもの閲覧(モニター閲覧)は全国の遺言書保管所で可能です。

遺言者の存命中は、遺言者以外の人は閲覧できません。推定相続人などでもできません。

遺言者死亡後の取り扱い


遺言者が死亡した後は誰でも遺言書保管所に 遺言書保管事実証明書の交付の請求することができます。

この証明書で自分が相続人や 受遺者などになっている遺言書 が保管されているかどうかを確認することができます。

また、相続人等は遺言書の写し 遺言書情報証明書の交付も受けられます。

遺言書情報証明書を交付したり 、遺言書の閲覧が行われた場合には、法務局は、他の相続人などの遺言者の関係者に対して 速やかに、遺言書が保管されている旨を通知します。

家庭裁判所での検認が不要とされています。

交付された遺言書情報証明書によって、スムーズに相続手続きを行うことができるようになります。

死亡時通知


死亡時通知とは、遺言書保管所が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、予め遺言者が指定していた1名に、遺言書が保管されている旨を通知する制度のことです。

指定された者に通知される内容は、関係遺言書保管通知と同じで、以下のものです。

①遺言者の氏名

②遺言者の出生の年月日

③遺言書が保管されている遺言保管所の名称

④保管番号


遺言者の死亡後、関係相続人等がその遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付受けるとその他の関係相続人に対して遺言が保管されている旨が通知されます。

ただ、閲覧や交付請求がされないと、この通知は送付ません。

これを補うものになります。

相続人に遺言書の存在を知らせていなかった場合、遺言書の存在を誰も知らないまま、相続手続きが進められてしまう可能性があるため、それを防ぐことができます。

自筆証書遺言保管申請のやり方


申請できる人

遺言者のみ 代理人や死者による申請は不可


 申請する遺言書保管所

・遺言者の住所地

・遺言者の本籍地

・遺言者所有の不動産所在地

のいづれか


申請に必要な費用

1件につき 3900円


必要なもの

①申請書

②本人確認書類

③封をしていない自筆証書遺言

④本籍の記載がある住民票の写し

(他の書類が必要になる場合もあり)


自筆証書遺言書保管制度の手数料


・遺言書の保管申請
 ↓
3900円

・遺言書の閲覧請求(モニター)
 ↓
1400円

・遺言書の閲覧請求(原本)
 ↓
1700円

・遺言書情報証明書の交付請求
 ↓
1400円

・遺言書保管事実証明書の交付請求
 ↓
800円

・申請書等、撤回書等の閲覧請求
 ↓
1700円

★遺言書の保管申請の撤回及び変更の届出については手数料はかからない



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