有限責任事業組合 (LLP)の組合契約の効力発生
(設立)登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・有限責任事業組合契約に関する法律(以下「法」という。)
・法施行令(以下「令」という。)
登記手続法
↓
・投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則(以下「規則」という。)
・商業登記法(以下「商登法」という。)
・登録免許税法別表第一27
有限責任事業組合 (LLP)の組合契約の効力発生 (設立)登記について
有限責任事業組合 (LLP)の組合契約の効力発生 (設立)登記についてです。
登記すべき事項 (法57)
①組合の事業
・令1、2に規定された事業については、有限責任事業組合の事業として行うことはできない。
②組合の名称
③組合員の氏名又は名称及び住所
④組合契約の効力が発生する年月日
・組合契約は、組合員の出資が効力発生要件とされているので、
組合契約書に記載された効力発生日と出資の履行完了日のいずれか遅い日を登記することになる。
⑤組合の存続期間
・期間は確定期限でなければならず、
無期限とか存続期間の定めなしとすることはできない。
・期間の延長規定が置かれている場合は、その旨も登記しなければならない。
⑥組合の事務所の所在場所
・事務所とは、 主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、
従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。
⑦ 組合員が法人であるときは、当該組合員の職務を行うべき者の氏名及び住所
・同一法人に職務執行者を複数人置くことは差し支えないが、
職務執行者ごとに登記することになる。
⑧組合契約書において法37①から⑤までに掲げる事由以外の解散の事由を定めたときは、その事由
・解散事由については、 法37⑥に該当する場合のみが登記事項となる。
添付書面
・組合契約書(法67①)
・各組合員の出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面 (法67②)
①金銭の場合
ア取引明細表等当該銀行等が作成した書面
イ当該銀行等における口座の預金通帳の写し
ウ払込事務を取り扱った金融機関が発行する出資払込金受入証明書
なお、アイについては、
組合員が作成した払込みの全部の履行を証する書面を合てつする。
②金銭以外の財産の場合
出資の目的である財産の引継書等
・組合員が個人の場合は以下の書面
①組合契約書に押印された印鑑につき、 市区町村長が作成した印鑑証明書(規則7②)
・組合員が法人の場合は以下の書面(法67③)
①当該法人の登記事項証明書
②組合契約書に押印された当該法人の代表者の印鑑につき、登記所が作成した印鑑証明書
③当該組合員の職務執行者の選任に関する書面
組合員である法人の業務執行の決定機関において選任したことを明らかにする議事録等が該当する。
例:株主総会議事録、 取締役会議事録、理事会議事録など
④職務執行者の就任承諾書
⑤④に押印された印鑑につき、市区町村長が作成した印鑑証明(規則7②)
なお、 ①②については、法人が登記申請先と同一管轄の場合は不要。
・委任状(法73、商登法18)
・印鑑届(規則3、印鑑証明書付)
組合契約書の記載事項
①組合の事業
②組合の名称
名称中に、「有限責任事業組合」の文字は必ず使用しなければならない。
③組合の事務所の所在地
従たる事務所も設置する場合は、主たる事務所のほか従たる事務所も記載しなければならない。
また、 所在地は、 最小独立行政区まで記載すればよい。
④組合員の氏名又は名称及び住所
⑤組合契約の効力が発生する年月日
⑥組合の存続期間
⑦組合員の出資の目的及びその価額
⑧組合の事業年度
・相対的記載事項(法4⑤)
法上に 「~旨の定めをすることを妨げない」 といった規定があるもの。
法5②、 法25但書、 法27①但書、
法12①但書、 法37⑥、法40②など
・任意的記載事項(法4⑤)
上記以外で、 法令に違反しないもの及び公序良俗に反しないもの
備考
・組合契約は2名以上の個人又は法人で作成する。
組合員には、法人格のない組合や権利能力なき社団はなることができない。
・印鑑届については、組合員が法人の場合は、
代表者が作成した保証書(法人の印鑑証明書付)が必要となる(法3)
・登録免許税 6万円
有限責任事業組合 (LLP)の役員変更登記について
有限責任事業組合 (LLP)の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
組合員 2人以上(法1、 37②)
組合員が法人の場合は、職務執行者の氏名・住所も登記事項となる。
任期
なし
選任機関
総組合員の同意
(法5①:組合員は組合契約の記載事項であるため。)
※組合員が法人の場合は、職務執行者を選任する必要があり、組合員たる法人の機関設計に従い、業務執行の決定機関において選任する。
添付書面
・組合員が個人の場合
①変更契約書又は総組合員(当該加入組合員も含む)の同意書
②当該組合員の出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面(設立の添付書面を参照)
③当該加入組合員が①の書面に押印した印鑑につき、市区町村長が作成した印鑑証明書
・組合員が法人の場合(法 68②、 67③)
①変更契約書又は総組合員(当該加入組合員も含む) の同意書
②当該組合員の出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面
③当該加入組合員が①の書面に押印した法人の代表者の印鑑につき、登記所が作成した印鑑証明書
④法人の登記事項証明書
⑤当該組合員の職務執行者の選任に関する書面
⑥職務執行者の就任承諾書
⑦⑥の書面に押印された印鑑につき、 市区町村長が作成した印鑑証明書
なお、②以下については、 設立の添付書面欄を参照
・退任を証する書面 (68②)
変更契約書又は総組合員(当該脱退組合員も含む)の同意書
・委任状(法 73、 商登法18)
・印鑑届(規則3、 印鑑証明書付)
組合員が法人の場合は、代表者が作成した保証書(法人の印鑑証明書付)が必要
有限責任事業組合 (LLP)の管轄内での主たる事務所移転
有限責任事業組合 (LLP)の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
組合契約の変更を伴う場合
総組合員の同意
具体的住所及び移転年月日
業務執行の決定機関 総組合員の同意)
添付書面
・総組合員の同意を証する書面(法68①)
・委任状(法73、商登法18)
備考
・登錄免許稅
管轄内 3万円
有限責任事業組合 (LLP)の管轄外への主たる事務所移転
有限責任事業組合 (LLP)の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
・組合契約の変更
総組合員の同意
・具体的住所及び移転年月日
業務執行の決定機関 (総組合員の同意)
添付書面
・総組合員の同意を証する書面 (法 68①)
・印鑑届(規則3)
・委任状(法73、 商登法18)
備考
登錄免許稅
管轄外 6万円
・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
0 件のコメント:
コメントを投稿