行政書士法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記についてまとめています。
根拠法
↓
・行政書士法(以下「法」という。)
・法施行令
・法施行規則(以下「法規則」という。)
・会社法(以下「会」という)
登記手続法
↓
・組合等登記令(以下「令」という。)
・各種法人等登記規則(以下「規則」という。)
・会
・商業登記法(以下「商登法」という。)
・商業登記規則(以下「商登規則」という。)
行政書士法人の設立登記について
行政書士法人の設立登記についてです。
登記すべき事項 (令2)
①目的及び業務
②名称
③事務所の所在場所
・事務所とは、 主たる事務所及び従たる事務所の双方を指すので、 従たる事務所を設置する場合は、主たる事務とともに従たる事務所も登記事項となる。
④代表権を有する者の氏名、住所及び資格
・社員は各自法人を代表するので、社員全員の氏名、住所が登記事項となる。 ただし、定款又は総社員の同意をもって、社員の中から法人を代表すべき者を定めることができるので (法13の13①)、 その場合は、代表社員の氏名、住所が登記事項になる。
・特定業務については、 特定社員が法人を代表するが、 特定社員の全員の同意で特に代表すべき者を定めたときは、 代表特定社員となる(法13の13②)。
⑤存続期間又は解散の事由を定めたときはその事由
・解散の事由については、法13の19① に該当する場合のみ登記事項となる。
⑥社員(法人を代表すべき社員を除く)の氏名及び住所 (2⑥別表)
・代表権を有する社員は代表社員又は代表特定社員として登記されることから、 社員又は特定社員として二重に登記することは不要である。
⑦社員が法18の8③IVに規定する特定社員であるときは、その旨及び当該社員が行うことができる特定業務 (令2⑥別表)
・社員が法に規定する特定社員であるときは、「社員 (出入国関係申請取次業務特定社員)」 等として特定社員及びその業務を記載する。
⑧代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め(令2⑥別表)
⑨合併の公告の方法についての定めがあるときは、その定め(令2⑥別表)
・合併の公告の方法として、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公
告のいずれかを定款に定めることができる。
⑩電子公告を合併の公告の方法とする旨の定めがあるときは、 電子公告関係事項(令2⑥ 別表)
・事故等の場合における予備的な公告方法を定めることができる。
添付書面
・定数(令16②、公証人の認証要:法13の8②. 会30①)
法人を代表すべき者の資格を証する書面 (16②)
①代表社員
ア定数に定めた場合
定数
イ総社員の同意で定めた場合
総社員の同意書
②特定社員
特定社員の全員の同意書
・社員の資格を有する書面 (令16②)
社員は行政書士でなければならない(法13の5①) ので、その者が行政書士であることを証する書面を添付しなければならない。
日本行政書士連合会会長が発行する、 行政書士法人の社員資格証明書が、これに該当する。なお、この書面に社会保険労務士業務取扱会員である旨が記載されている場合は、 社員が特定社員であることを証する書面を兼ねる。
・特定社員の資格を証する書面 (16③)
出入国関係取次業務特定社員であることを証する書面には、地方入国管理局長が交付する申請取次者証明書が該当する。
・合併の公告の方法についての定めを証する書面(16③)
合併の公告の方法については、定款に定めることができるので、 定款がこれに該当する。
・総社員の同意書又は決定書 (令16②)
主たる事務所について、 総社員の同意で具体的住所を定めた場合
・委任状 (令25、 商登法18)
・印鑑届(令25、商登法20)
印鑑証明書(規則5、 商登規則9)
定款の記載事項
・絶対的記載事項 (法13の8③)
①目的
法人は、 以下の業務について行うことができる(法29)。
ア法1の2に規定する業務
イ法1の3に規定する業務
ウ定款に定めるところにより、 法 1の2及び法1の3に規定する業務に準ずるものとして総務省令で定める業務(法規則12の2)の全部又は一部。
なお、 特定業務については特定社員がいる場合に限り行うことができる(法13の6)。
エ社会保険労務士法2① I及びⅡIに規定する業務
オ税理士法51の2に規定する業務
②名称
名称中に、 「行政書士法人」の文字を必ず使用しなければならない。(法13の4)
③主たる事務所及び従たる事務所の所在地
所在地は、 最小独立行政区まで記載すればよい。
④社員の氏名、住所及び特定業務を行うことを目的とする行政書士法人にあっては、 特定社員であるか否の別
⑤ 社員の出資に関する事項
出資の種類は金銭に限らず、 その他の財産、労務、 信用でも差し支えないが、その価額又は評価の基準を記載しなければならない。
・相対的記載事項
損益の分配割合(法13の2①、622)
代表社員の選任 (法13の13①)
社員の脱退事由(法13の8②)
法人の解散事由及び存続期間(13の19①、 令2②V)
合併の公告をする方法
(法13の21②、会939①③) など
・任意的記載事項
上記以外で、 法令に違反しないもの及び公序良俗に反しないもの
例: 社員報酬、 事業年度など
備考
・社員になろうとする行政書士2人以上が共同して定款を作成する(法13の8 ①、 13の19②)。
・特定業務(法13の6) とは、 行政書士法人の業務のうち、 行うことができる行政書士に関して、法令上の制限がある業務(社会保険労務士法2① Ⅰ及びⅡに掲げる業務、 出入国関係申請取次業務)のことをいい、当該業務を行うことができる社員を特定社員(法13の8③ IV) という。
・法人の事務所には、その事務所の所在地を含む区域に設立されている行政書士会の会員である社員を常駐させなければならない(法13の14)。
・法人の社員は、 行政書士でなければならず(法13の5①)、 人数は2人以上必要とされており(法13の8①、 13の19②)、 社員が1名になったときは解散事由となる(法13の19②)。
・社員の欠格事由(法13の5②)当該代表者について、 代表権の範囲又は制限に関する定めがある否かは、当該代表者の資格及び当該代表者以外の代表者の資格との関係によって表示される。
行政書士法人の社員、特定社員の役員変更登記について
行政書士法人の社員、特定社員の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
社員 (法13の13 ① )
特定社員(法13の13②)
任期
なし
選任機関
総社員の同意 (令13の11①)
・定款の変更になるため
添付書面
・総社員の同意書 (令17①)
社員及び特定社員は定款の絶対的記載事項であるため
・社員及び特定社員の資格を有する書面 (令17①)
設立の添付書面欄を参照
・印鑑証明書(規則5、 商登法61④)
総社員の同意書に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)
・退任を証する書面(令17①)
総社員の同意書(辞任、解任)、死亡を証する書面 (死亡届、戸籍謄本等)など
・印鑑届(令25、商登法20、 規則5、 商登規則9)(印鑑証明書付)
登録者が変更する場合
・委任状 (令25、 商登法18)
備考
・役員の人数は、社員及び代表社員合わせて2人以上必要である。
・行政書士法人は、民法643条を準用していないため、 就任承諾書は不要であり、また、 社員その一方的な辞任はできないとされている。
行政書士法人の代表社員、代表特定社員の役員変更登記について
行政書士法人の代表社員、代表特定社員の役員変更登記についてです。
登記すべき事項
代表社員 (任意法13の13①)
代表特定社員(任意法13の13②)
任期
なし
選任機関
代表社員
定款又は総社員の同意
(法13の13①)
代表特定社員
特定社員の全員の同意
(法13の13②)
添付書面
・代表権を有する者の選任を証する書面(令17①)
①代表社員 (令13の13① )
総社員の同意書
②代表特定社員(法13の13②)
特定社員の全員の同意書
・社員及び特定社員の資格を有する書面 (17①)
設立の添付書面欄を参照
・印鑑証明書(規則5、 商登法 61④)
代表権を有する者を選任した書面に押印された印鑑(法人代表印が押印されてときは除く。)
・退任を証する書面(令17①)
死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本等)など
・印鑑届(25、 商登法20、 規則5、 商登規則9)(印鑑証明書付)
登録者が変更する場合
・委任状(25、 商登法18)
備考
・役員の人数は、社員及び代表社員合わせて2人以上必要である。
・行政書士法人は、民法643条を準用していないため、 就任承諾書は不要であり、また、 社員その一方的な辞任はできないとされている。
行政書士法人の管轄内での主たる事務所移転
行政書士法人の管轄内での主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
登記すべき事項
移転年月日
移転後の主たる事務所
決議機関
定款変更を伴う場合(定款で地番まで定めた場合)
総社員の同意(法13の11①)
具体的住所及び移転年月日
社員の過半数の一致
(590を準用していないが、 一般原則による。)
添付書面
・総社員の同意書 (令17①)
定款変更が伴う場合
・社員の過半数の一致を証する書面(令17①)
・委任状(令25、商登法18)
行政書士法人の管轄外への主たる事務所移転
行政書士法人の管轄外への主たる事務所移転についてです。
登記すべき事項
旧管轄
移転年月日
移転後の主たる事務所
新管轄
現に有効な登記事項全部移転事項
決議機関
定款変更
総社員の同意(法13の11①)
具体的住所及び移転年月日
社員の過半数の一致
(590を準用していないが、 一般原則による。)
添付書面
・総社員の同意書 (令17①)
・社員の過半数の一致を証する書面(令17①)
・印鑑届(25、 商登法20、 規則5. 商登規則9)
・委任状(25、 商登法18)
備考
・新管用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。
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