一般社団法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について

2022年4月10日日曜日

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一般社団法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記について


一般社団法人の設立登記、役員変更登記、主たる事務所移転登記に関して、登記すべき事項や必要書類をまとめています。


一般社団法人の根拠となる法律は、一般社団法人及び一般財団法人法に関する法律(以下「法」という。)、法施行令です。


登記手続きにの根拠となる法律は、一般社団法人等登記規則(以下「規則」という。)、

商業登記法(以下「商登法」という。)、商業登記規則(以下「商登規則」という。)、

「登録免許税法別表第一24」などになります。


一般社団法人の設立登記について


設立登記に関連する、「登記すべき事項」、「必要書類」、「定款の記載事項」について、まとめています。


登記すべき事項 


① 目的


② 名称


③ 主たる事務所及び従たる事務所の所在場所


④ 存続期間又は解散の事由


⑤ 理事の氏名


⑥ 代表理事の氏名及び住所


⑦ 理事会設置法人であるときは、その旨


⑧ 監事設置法人であるときは、その旨及び監事の氏名


⑨ 会計監査人設置法人であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称


⑩ 一時会計監査人の職務を行うべきものを置いたときは、その氏名又は名称


⑪ 役員等の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め


⑫ 外部役員等が負う責任の限度に関する契約の締結について定款の定めがあるときは、その定め


⑬ ⑫の定款の定めが外部理事に関するものであるときは、理事のうち外部理事であるものについて、外部理事である旨


⑭ ⑫の定款の定めが外部監事に関するものであるときは、監事のうち外部監事であるものについて、外部監事である旨


⑮ 決算報告について、インターネット上のウェブサイトに掲載する方法をとるときは、そのウェブページのアドレス


⑯ 公告方法


⑰ 公告方法が電子公告であるときは、電子広告のためのウェブページのアドレス等


必要書類


・定款(法318②、公証人の認証が必要:法13)


・設立時理事、設立時監事の選任に関する書面

①定款の附則に定めた場合 → 定款

②設立時社員の決議で選任した場合(法318③) → 設立時社員の決議書


・設立時代表理事の選定に関する書面(法318②Ⅱ)

①理事会設置法人

ア 設立時理事の過半数の一致を証する書面

 (定款の附則に定めても差し支えない)


②理事会非設置法人

ア 定款の附則に定めた場合 → 定款

イ 定款の定めに基づき設立時理事が選任した場合 → 定款+互選書

ウ 設立時社員の過半数によって選任した場合 → 設立時社員の決議書

エ 設立時理事の全員が設立時代表理事になる場合 → 添付書面は不要


・設立時理事、設立時監事、設立時代表理事の就任承諾書(法318②Ⅲ)


・設立時理事及び設立時監事の本人確認証明書

設立時理事,設立時監事(印鑑証明書を添付しない役員)について,本人確認証明書を添付する。本人確認証明書とは、具体的には、住民票記載事項証明書,運転免許証のコピー(裏面もコピーし,本人が原本と相違ない旨を記載して,記名したもの。)


・就任承諾書に押された印鑑についての印鑑証明書(規則3、商登規則61②③)

①理事会設置法人は、代表理事について必要

②理事会非設置法人は、理事全員について必要


・設立時会計監査人を選任したときは、選任等に関する書面(法318②Ⅳ)

①設立時会計監査人の就任承諾書


②設立時会計監査人が監査法人の場合

 → 登記事項証明書(当該登記所の管轄のときは不要)

 また、監査法人の会社法人等番号を申請書に記載することにより、登記事項証明書の添付を省略できる(商登法19条の3)。

 このときの申請書の添付書類の記載は次の通り。

添付書類

登記事項証明書 添付省略

(会社法人等番号 1111-22-333333)


③設立時会計監査人が個人の場合

 → 公認会計士であることを証する書面


・設立時社員の同意書又は決議書(法318③)


・委任状(法330、商登法18)


・印鑑届(法330、商登法20)

 → 印鑑証明書(規則5、商登規則9)


定款の記載事項


・絶対的記載事項(法11①)

①目的


②名称

 名称中に、「一般社団法人」の文字を必ず使用しなければならない。(法5)


③主たる事務所の所在地

 所在地は、最小独立行政区まで記載すれば良い。


④設立時社員の氏名又は名称及び住所


⑤社員の資格の得喪に関する規定


⑥公告方法


⑦事業年度


・相対的記載事項(法12)

①理事会、監事、会計監査人の設置


②理事会決議の省略


③外部役員等の責任限定契約など


・任意的記載事項(法12)

 上記以外で、法令に違反しないもの


その他 


・定款は社員2名以上で作成する。


・社員に余剰金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨を定款に定めることはできない(法11②)


・理事が一人の場合でも、同一人を代表理事として、住所、氏名を登記しなければならない。


・役員等の人数、任期は役員変更を参照。


・登録免許税は6万円。


・機関類型

必置機関 → 社員総会、理事

任意設置期間 → 理事会、監事、会計監査人


①社員総会+理事

②社員総会+理事+監事

③社員総会+理事+監事+会計監査人

④社員総会+理事+理事会+監事

⑤社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人


一般社団法人の役員変更登記について


理事会を設置していない場合と、理事会を設置している場合で分けて説明します。


理事会非設置法人


登記すべき事項、任期、選任機関と添付書面について、説明します。


登記すべき事項、任期、選任機関


理事

・理事は一人以上(法60)

・任期は2年(法66)

 定款又は社員総会の決議により短縮可能

・選任機関は社員総会(法63)


監事

・監事は任意(法60②)

 会計監査人を設置する場合は必ず設置

・任期は四年(法67)

 定款で2年まで短縮可能

・選任機関は社員総会(法63)


会計監査人

・会計監査人は任意(法60②)

 大規模法人は必ず設置(★大規模法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200円以上である社団法人(法2②))

・任期は1年(法69)

・自動再任

・選任機関は社員総会(法63)


代表理事

・代表理事(法77③)

・選任機関

 ①定款

 ②定款の規定に基づく互選

 ③社員総会


必要書類


・社員総会議事録(法317②、理事及び監事の選任)


・代表理事の選任を証する書面(法317②)

 ①理事一人又は各自代表の場合→添付書面は不要

 ②に定款で代表理事を直接定める場合→定款

 ③社員総会の決議の場合→社員総会議事録

 ④定款の定めに基づく理事の互選の場合→互選書+定款


・就任承諾書(法320①)


・本人確認証明書

 新たに就任する理事又は監事(印鑑証明書を添付しない役員)について,本人確認証明書を添付する。本人確認証明書とは、具体的には、住民票記載事項証明書,運転免許証のコピー(裏面もコピーし,本人が原本と相違ない旨を記載して,記名したもの。)


・印鑑証明書(規則3、商登記規61④)

 新任の理事の就任承諾書に押印された印鑑

 代表理事を選任した議事録に押印された印鑑(なお、法人の代表印が押印されている場合は不要。)


・退任を証する書面(法律320⑤)

 辞任届、死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本等、法定相続情報一覧図など)


・印鑑届(法330、商登法20、規則5、商登規則9)

 →代表理事が変更する場合、印鑑証明書付き


・委任状(法330、商登法18)


理事会設置法人


理事会を設置している法人の登記すべき事項、任期、選任機関と添付書面についての説明です。


登記すべき事項、任期、選任機関


理事

・理事3人以上(法65③)

・任期2年(法66)

 定款又は社員総会の決議により短縮可能

・選任機関は社員総会(法63)


監事

・監事(法61)

・任期は4年(法67)

 定款で2年まで短縮可能

・選任機関は、社員総会(法63)


会計監査人

・会計監査人(法62)

 大規模法人は必ず設置(法62)

・任期は1年(法69)

 自動再任

・選任機関は社員総会(法63)


代表理事


・代表理事(法93)

・選任機関は理事会(法92)又は定款の定めによる社員総会(法35②)


必要書類


・社員総会議事録(法317②、理事及び監事の選任)


・理事会議事録(法317②、代表理事の選任)


・就任承諾書(法320①)


・本人確認証明書

 新たに就任する理事又は監事(印鑑証明書を添付しない役員)について,本人確認証明書を添付する。本人確認証明書とは、具体的には、住民票記載事項証明書,運転免許証のコピー(裏面もコピーし,本人が原本と相違ない旨を記載して,記名したもの。)


・印鑑証明書(規則3、商登規則61④)

 新任の代表理事の就任承諾書に押印された印鑑

 理事会議事録に押印された印鑑(出席した理事及び監事全員分が必要。なお、代表印が押印されている場合は不要。)


・退任を証する書面(法320⑤)

 辞任届、死亡を証する書面(死亡届、戸籍謄本、法定相続情報一覧図等)など


・印鑑届(法330、商登法20、規則5、商登規則9)

 →代表理事が変更する場合、印鑑証明書を付き


・委任状(法330、商登法18)


備考


・大規模法人とは最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200円以上である社団法人(法2②)


・登録免許税1万円


・役員の任期は、「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会終結の時まで」となる。


一般社団法人の主たる事務所移転登記について【管轄内】


主たる事務所移転は、管轄内での移転か、管轄外への移転かで若干、手続きが変わります。管轄内で移転する場合の説明です。


登記すべき事項


・移転年月日

・移転後の主たる事務所


決議機関と必要書類


理事会を設置している場合と、設置していない場合で分けて考える必要があります。


理事会設置


決議機関

定款変更(地番まで定めている場合など)

→社員総会


具体的住所及び移転年月日

→理事会


必要書類

・社員総会議事録(定款変更を伴う場合)(法317②)


・理事会議事録(法317②)


・委任状(法330、商登法18)


理事会非設置


決議機関

・定款変更(地番まで定めている場合など)

→社員総会


・具体的住所及び移転年月日

→社員総会又は理事の決議


必要書類

・社員総会議事録(定款変更を伴う場合)(法317②)


・理事の決議書(法317①)


・委任状(法330、商登法18)


備考


・理事会非設置法人について具体的住所及び移転年月日は原則理事の決議であるが社員総会で決議していてもよい。


・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。


・登録免許税

 管轄内 3万円

 管轄外 6万円


一般社団法人の主たる事務所移転登記について【管轄外】


管轄外へ主たる事務所を移転する場合についてです。


登記すべき事項


旧管轄

 ・移転年月日

 ・移転後の新たなる事務所


新管轄

 ・現に有効な登記事項全部

 ・移転事項


決議機関と必要書類


理事会を設置している場合と、設置していない場合で分けて考る必要があります。


理事会設置


決議機関

定款変更

→社員総会


具体的住所及び移転年月日

→理事会


必要書類

・社員総会議事録(定款変更を伴う場合)(法317②)


・理事会議事録(法317②)


・印鑑届(法330、商登法20、規則5、商登規則9)


・委任状(法330、商登法18)


理事会非設置


決議機関

定款変更

→社員総会


具体的住所及び移転年月日

→社員総会又は理事の決議


必要書類

・社員総会議事録(定款変更を伴う場合)(法317②)


・理事会議事録(法317②)


・印鑑届(法330、商登法20、規則5、商登規則9)


・委任状(法330、商登法18)


備考


・理事会非設置法人について具体的住所及び移転年月日は原則理事の決議であるが社員総会で決議していてもよい。


・新管轄用の登記すべき事項は、主たる事務所以外に変更がない場合は、登記事項証明書を添付してもよい。


・登録免許税

 管轄内 3万円

 管轄外 6万円



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