【遺産相続の手続きの流れ】まずは遺言書の有無を確認しましょう

2020年12月29日火曜日

相続について

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・身内が亡くなったけど、相続はどうしたら?

・遺産相続の手続きの進め方がわかりません。タイムスケジュールは?

遺産相続の手続きは、亡くなった方のが残した財産を引き継ぐ手続きです。

おそらく、誰もが死ぬまでに一度は関わる問題です。

遺言の有無、相続人、相続財産の内容の確認など、けっこう手間がかかります。

期限の関係する相続手続きもありますので、十分注意する必要があります。

相続発生から遺産分割完了までの流れを4つに分けて説明します。

遺言書の有無を確認【遺言書があるのか?ないのか?】

相続が発生した場合まず確認すべきは遺言書があるかないかです。

相続発生のタイミングは死亡の時です。

民法第882条は「相続は、死亡によって開始する。」と規定しています。

遺言書がある場合には、その遺言書の内容に従って遺産を相続人で分配するだけです。

遺言書がない場合には、相続人全員で話し合いをし、どのように遺産を相続するのか決める必要があります。

この相続人が全員で話し合いを行って決めることを遺産分割協議と言います。

遺言書があるかどうかを確認することは重要なことです。

遺言書がある場合には、遺言書に従った遺産の分配をする必要があります。

遺産分割協議をして、話し合いがまとまったとします。

しかし、後に遺言書が発見されたような場合、その遺産分割協議の過程が全てムダになってしまいます。

実務上、相続人全員が同意をすれば、遺言書と異なる方法で遺産分割をすることも可能です。

しかし、相続人が一人でも遺言書どおりがいいと言いだすと、遺言書通り分配をしなくてはなりません。 

せっかく遺産分割協議をまとめたのに、それがムダになってしまいますね。

なので、最初に遺言書があるのかないのかを正確に把握することが大切になってきます。

遺言書があるかないかで手続きが変わってきますので、家族の方が亡くなりましたら必ず確認してください。

ちなみに、遺言書には3つの種類があります。

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つです。

1つ目、自筆証書遺言です。

本人が直筆で書く形式のものです。

費用がかからないので、1番利用されていると思います。

金庫に保管するケースが多いものです。

簡単にできる反面、紛失や改ざんなどトラブルが多いのが実情です。

この対策として2020年7月10日から法務局における保管制度がスタートしています。

自筆証書遺言書を法務局で預かってくれる制度です。

法務局に遺言書保管事実証明書の交付を請求することで遺言書があるかないかを確認できます。

公証役場に保管を依頼するよりも費用が安いので今後需要が増えていくことが考えられます。

2つ目、公正証書遺言です。

公証役場で作ります。

原本は公証役場で保管されています。

公証役場で検索が可能です。

本人が死んでしまった後、公証役場で行き、必要書類を持参して遺言書の有無を確認することができます。

誰でも確認が出来るわけではありませんので注意。

利害関係がある方のみです。

詳細はこちらから

3つ目、秘密証書遺言です。

誰にも遺言書の内容を知られたくない場合に利用されます。

あまり使われません。

公証役場に作成した記録のみを残すものです、本人の責任で保管するものです。

そのため、自宅の金庫や貸金庫に保管している可能性があります。

遺言書が存在するのであれば基本書通りに分けるだけでいいので、そんなに難しい手続きにはなりません。

次は、遺言書がなかった場合の手続きについて進んでいきます。

相続財産と相続人の確認

遺言書がない場合、遺産分割協議をすることになります。

遺産分割協議をする前に次の2点を確認する必要があります。

1つ目が相続財産の詳細の確認。

2つ目が相続人の確認です。

相続財産の詳細の確認

遺産分割協議前に、分ける財産がどのくらいあるかを正確に把握する必要があります。

財産といえば、預金や不動産のプラスの財産を考える方は多いかと思います。

しかし、借金などのマイナスの財産も相続財産になります。

例えば1,000万円の現金があったとします。

他方で2,000万円の借金があったとします。

この場合、相続人は1,000万円の負債を抱えることにもなってしまうのです。

このような場合には、相続放棄という手続きをとる必要があります。

後ほど、説明します。

相続人の確認

 「そんなの家族なんだから分かるでしょ。」

と思う方もいるかもしれません。

相続が発生した時に、相続人になる人は民法で決まっています。

配偶者がいれば、配偶者は必ず相続人になります。

そして、子がいれば、子が第1順位の相続人になります。

子がいなければ、直系尊属の親が第2順位の相続人になります。

子供も父母もいないのであれば、第3順位として兄妹姉妹が相続人になります。

相続人の確認するためには具体的に何をすればいいのでしょうか?

亡くなった人の本籍地の役所で、生まれてから死ぬまでの戸籍謄本や除籍謄本を全部集める必要があります。

なぜ、必要かと言うと、亡くなった人に実は認知した子がいたとか、 生前に孫を養子にしていたなどのケースがあるからです。

前述のように、遺産分割前に確認をしておかないと全部やり直しになってしまうということがあります。

一部の相続人を除いた遺産分割協議は無効です。

集めた戸籍謄本等は、銀行や法務局での名義書換などの手続きで使用しますので大事に保管しておきましょう。

このあたりが、相続の難しい手続きになります。

大変だと感じる方は、司法書士等の専門家に相談して、依頼するのがよいと思います。

相続の三つの方法【単純承認、相続放棄、限定承認】

相続財産の詳細と相続人は誰かの2つが確認できたら、相続をするかどうか判断します。

3つの方法があります。

単純承認

プラスの財産もマイナスの財産も全部相続することで、単純承認と言います。

特段の手続きは必要ありません。

相続放棄

相続放棄は文字通り相続を放棄することを意味します。

この相続放棄をすると当初から相続人ではないことになります。

親が多額の借金をしている場合など、財産を引き継ぎたくない時には、この相続を放棄をすることになります。

相続放棄をしないと、借金を全部引き継ぐことになってしまいますので注意。

この相続放棄は、相続人ごとに決めることができます。

限定承認

相続財産の状況を調査したけれども、借金がどれくらいあるのか不明の場合、プラスの財産で借金を清算して、残りが出た場合のみに相続することができます。

簡単に言えば、プラスになった場合だけ相続するということです。

メリットがあるように思われますが、各相続人ごとに限定承認はすることができず、相続人全員で一致して限定承認をする必要があります。

注意点

相続放棄と限定承認は相続があったことを知った日から3ヶ月以内手続きをする必要があります。

この3ヶ月を過ぎてしまうと自動的に単純承認となってしまいます。

つまり、プラスの財産とマイナスの財産、いっしょに相続することになってしまいます。

また、手続きは必ず家庭裁判所で行うことになります。

もうひとつ、注意点。

「遺産分割協議で相続をしないとすれば、相続放棄をしたことになる」と考えてる人もいるかもしれません。

しかし、この考えは誤りなので注意。

家庭裁判所で手続きをしなければ、相続を放棄したことにはなりません。

つまり、借金があった場合など、債権者である銀行から請求された時には債務を支払わなければならないということになります。

遺産分割協議の内容は相続人の間で効力があるものであり、第三者の債権者である金融機関などには、その協議で決めた内容を主張することはできません。

借金を相続してないということであれば、必ず、家庭裁判所の手続きをしてください。

遺産分割協議

遺産分割協議の方法ですが、必ずしも、全員が一同に介して話し合う必要があるわけではありません。

最近では電話やメールなどを使って、相続の方法を決めることもあるようです。

遺産の分け方については、特段、民法で決められていません。

民法では法定相続分というものを定めていますが、これは一定の目安です。

必ずこのように分けてね、というものではありません。

どんなふうに分けても自由です。

また、いつまでにしなくてはいけないという期限はありませんが、 実際には、四十九日の法要が終わってからになるのが一般的のようです。

葬儀から始り、初七日、四十九日などがあり、忙しく、色々な手続きに着手できるようになるには少し時間がかかります。

ちなみに、遺産分割協議が整わず、親族で揉めるといったようなこともよくあることです。

そういった場合には、遺産分割調停、遺産分割審判等、裁判手続きで解決を図っていく必要が出てきてしまいます。

この裁判手続きで、数年かけて争うというような事態も発生しています。

そのため最近では遺言書をしっかり残しましょう、と言う流れがあります。

まとめ

まとめです。

まず、遺言書があるかないか確認。

遺言書がある場合には遺言書通りに、遺言書がない場合には相続人で話し合って遺産分割協議書を行います。

また、相続を知った日から3か月以内にどのように相続するかを決めましょう。

相続放棄をしないと、単純承認になってしまいますので、気をつけてください。


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