【不動産登記】所有者の住所や氏名が変更になったときの手続きについて

2019年9月22日日曜日

司法書士試験と実務について

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不動産を購入して登記をした後、

・引越しをして住所が変わる
・結婚して氏が変更になる

このような場合の登記手続きについて説明します。

住民票や戸籍を変更しても、不動産の登記記録に記録されている住所、氏名は自動で変わりません。

 管轄の法務局に登記名義人の住所、氏名の変更の登記申請をする必要があります。

 変更手続きの流れは次のとおりです。

登記の申請書を作成し、住民票や戸籍など(変更の過程がわかるもの)の書類を添えて法務局に提出します。

申請書は法務局ホームページに書式がありますので、これを利用しましょう。

リンクはこちら
 ↓
【法務局】不動産登記の申請様式

【10)登記名義人住所・氏名変更登記申請書(住所移転の場合)】から
【15)登記名義人住所・氏名変更登記申請書(会社の商号又は本店を変更又は移転した場合)】までです。

見本も掲載されているので、これを参考に作成します。

できたら添付書類といっしょに管轄の法務局へ提出。

管轄は不動産の所在地で決まっています。

リンクはこちら
 ↓
【法務局】管轄のご案内

直接窓口へ提出してもいいし、郵送で送付しても大丈夫です。

だいぶ昔に不動産を購入して、どのように登記がされているかわからない人は、先に登記事項証明書を取得しましょう。

どのように登記がされているか確認できます。

取得方法については「登記事項証明書(謄本)取得方法について」をご参考ください。
 ↓

登記名義人住所、氏名変更の必要書類について


登記申請書といっしょに提出する添付書類について説明します。

住所変更について


住所が変更になる場合として、 引越しをして住所が移転する場合と 行政による住居表示実施、町名地番変更 などの場合があります。

・住所移転の場合


引越しなどをして住所が移転して変更した場合です。

変更証明書(変更証明情報)として、住民票か戸籍附票を用意します。

登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所から、現在の住所に至るまでの全ての住所移転の経緯が記載されているものが必要になります。

・住居表示実施や行政区画変更などの場合


引越しをしたわけでは無いのに住所の表示が変更になるようなケースもあります。

行政による住居表示実施、町名地番変更などの場合です。

住居表示実施や町名地番変更により住所が変更になった場合でも、登記されている住所は自動的に変更になりません。

法務局に住所変更の登記の申請が必要になります。

市役所等で発行される住居表示実施証明書、町名地番変更証明書などの書類を用意して、登記の申請書といっしょに法務局に提出します。

なお、この場合には、登記するのに費用(登録免許税といいます。)はかかりません。

氏名変更について


氏名変更登記では、 氏名の変更がわかる戸籍が必要です。

さらに、本籍の記載のある住民票か戸籍の附票が必要です。

本籍の記載のある住民票か戸籍の附票が必要になる理由は以下のとおりです。

登記には住所と氏名が記録されている。

戸籍には本籍と氏名が記録されているが、住所の記録されていない。

そのため、登記と戸籍のつながりを証明する必要があるので、本籍の記載のある住民票か戸籍の附票が必要になります。

登記名義人住所氏名変更の登記の費用は?


登録免許税という費用がかかります。

 不動産1個につき1000円です。 土地・建物なら2000円。

住所の変更が何回あっても1000円です。

住所の変更の原因が住居表示実施や行政区画変更は、住所の変更が行政側の都合によるものなので、費用はかかりません。

引越しをして、その後に住居表示実施がされた場合には、登録免許税はかからず、非課税になります。

また、行政区画の変更で町名だけが変更になり、○○番地○号の数字の部分が変更になっていない場合は変更の登記をする必要はありません。

住所氏名変更登記の住民票などに期限はありますか? 


添付書類の住民票や戸籍の附票、戸籍などの書類に期限はありません。

以前、取得したものがあるなら、それを使えます。

住所変更登記で住所移転が複数回ある場合について


住所移転をしたのが1度だけの場合、現在の住民票に引越前の住所(前住所)が記載されているので、それで足ります。

 しかし、住所を複数回移転しているときには、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所から、現在の住所に至るまでの全ての住所移転の経緯が記載されているものが必要になります。

A市(登記されている住所) →B市 →C市 と住所が移転している場合、 B市 →C市の移動がわかる住民票はC市の役所で取得します。

 A市 →B市の移動がわかる住民票はB市の役所でないと取得できません。

そのため、複数回の住所移転を住民票で証明しようとすると、複数の市役所で住民票の請求をする必要がでてきます。

そのため、住所を複数回移転している場合は、戸籍の附票を用意するとよいです。

戸籍の附票は、戸籍に入っている者の住所履歴が証明できる書類です。

本籍がかわっていなければ、戸籍に入ったときからの住所履歴が確認できますので、住民票のように複数の市役所に請求する必要がありません。

逆に言うと、住所移転が本籍変更より前の場合には、本籍が変更されてからの住所の履歴しか確認できないので、戸籍の附票でも住所の履歴が証明できないので注意です。遡って集める必要があります。

住所変更登記をしたいが住所の履歴がつながらない場合は?


保存期間の関係で住民票や戸籍の附表が役所から取得できない場合があります。

そうすると、住所の変更を証明することができません。

このときは、 一般的には取れるだけ取ったものと登記識別情報もしくは登記済証を添付して申請することになります。

つながりがとれないのはしょうがないので、登記識別情報もしくは登記済証をつけることで本人に間違いないことを証明します。

法務局では間違った登記をしないよう本人確認が一番重要になります。

登記識別情報もしくは登記済証の保持=本人 という図式が一般的には成立するので、こういった取り扱いがされます。

また、住所がつながらない場合には、事前に法務局に相談しましょう。

上記のような回答がくるはずです。

ちなみに、 住民票と戸籍の附票の最低保存期間は5年になります。

自治体により若干異なるようですが、 住民票は住所を異動してから5年、戸籍の附票は戸籍を異動してから5年です。

住所変更や氏名変更の登記をしないとどうなる?


法律上、登記名義人住所変更や氏名変更の登記はいつまでにしなければならないという期限は決まっていませんし、罰金などもありません。

しかし、将来、不動産を売ったり、贈与したり、お金を借りるために不動産を担保にしようとしたときには、必ず変更をする必要があります。

また、上述のように、住所の変更を証明する書類が取得できなくなったことにより、手続きが若干めんどうになります。

ですので、早目に変更の登記を済ませておくことがおすすめです。

法人名義の不動産の登記の住所変更について


法人名義で不動産を所有していることもあります。

 不動産の所有者である法人が住所変更(本店移転)をした場合も住所変更の登記が必要です。

法人の住民票や戸籍の附票はないので、法務局で発行する法人の履歴事項証明書や閉鎖事項証明書などを添付することになります。

原則、証明書等を添付するのですが、「会社法人等番号」を提供することで証明書等の提出を省略することができます。

「会社法人等番号」を提供するというのは、登記の申請書に「会社法人等番号」を記載するということです。

ただし、注意事項があります。

閉鎖事項証明書に記載された会社法人等番号が現在の会社法人等番号とは異なる場合は,省略することができません。

ちょっと分かりづらいと思うので説明します。

平成24年5月20日(外国会社にあっては平成27年3月1日)以前の法人の登記では,他の登記所の管轄区域内へ本店移転をしたり、組織変更などの登記をすると会社法人等番号が変更されていました。

例えば、港区にある平成24年1月1日に会社法人等番号「1」(便宜1桁の数字で)の会社が、渋谷区に本店移転をして、会社法人等番号は「2」になったとします。

さらに、平成24年3月1日に渋谷区から千代田区に本店移転をして、会社法人等番号が「3」になったとします。

不動産登記記録上の住所が港区のままになっていて、これを変更しようとすると、港区→渋谷区→千代田区との移転の経緯がわかる証明書が必要になります。

港区→渋谷区の変更の経緯は東京法務局渋谷出張所の閉鎖事項証明書をとるとわかりますが、この閉鎖事項証明書に記載されている会社法人等番号は「2」ということになります。 そして、現在の会社法人等番号は「3」ということになります。

このような場合には、現在の会社法人等番号の提供に加えて,住所の移転の事項を確認することができる閉鎖事項証明書を提供が必要ということになります。

オンラインで不動産登記の住所変更や氏名変更の登記もできますが…


 登記の申請はオンラインですることもできますが、あまりおすすめしません。

オンラインの申請は司法書士などの登記の専門家向けだと思います。

継続的に登記申請をすることがない一般の人は、窓口で申請をするか、郵送で送付するかでよいと思います。

オンライン申請をするためには、専用のソフトをダウンロードすることと、電子署名ができる環境を整える必要があります。

さらに、オンラインで申請情報(オンライン上の申請書)を入力して送信した後に、住民票などの紙媒体の添付書類は、法務局に郵送で送付する必要かあります。

それなら、申請書も紙で作成して郵送した方が簡単です。

以上から、継続して登記申請をしないのであればオンライン申請の必要性はあまりないのではないのかと考えます。

オンライン申請に挑戦したい方はこちらから
  ↓
【法務省】不動産登記の電子申請(オンライン申請)」について

「第3オンラインによる登記の申請手続き」になります。

【会社法人登記】法人代表者の住所変更登記は忘れないで


会社をやっていて、代表取締役になっている人は、会社の登記記録に住所と氏名が登録されているので、そちらの変更も必要です。

不動産登記については、変更の手続きに期限がないと書きましたが、 法人登記については、変更の原因が生じてから2週間以内に登記をするという期限があるので、注意です。

書式はこちらから
 ↓
【法務局】商業・法人登記の申請書様式 

2役員変更の
・1-5株式会社役員変更登記申請書(住所移転)【R1.6.21更新】
・1-6株式会社役員変更登記申請書(氏名変更)【R1.6.21更新】

になります。

申請書を作成して会社の実印を押すだけです。

変更を証明するための添付書類は必要ありません。

費用は資本金の額が1億円を超える場合は3万円,1億円以下の場合は1万円です。

なお、住居表示実施や町名地番変更による変更の場合、その証明書を添付すると費用はかかりません。

法務局に登録している会社印(実印)を変更(改印)しようとする場合など、個人の印鑑証明書を添付する必要がある手続きをしようとする場合には必ず住所や氏名の変更の登記をする必要があります。

登記と印鑑証明書の記載に一致しない状態になり、法務局側で本人確認ができないからです。

 「急いで改印の手続きをしなくてはいけない。」 となったときに、めんどうですので、法人登記の住所変更、氏名変更の登記は忘れないように注意しましょう。

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