【悩み】相続人に未成年者がいる場合の相続の手続きについて
主人が病気で亡くなってしまいました。
子どもはまだ15歳です。
相続財産としては、3年前に購入したマンションと夫名義の預金100万円ほどあります。
相続の手続きはどのように進めたらよいのでしょうか?
相続人に未成年者がいる場合の相続の手続きについてお話しします。
【回答】共同相続人に未成年者がいる場合の手続きについて【→特別代理人の選任】
共同相続人中に未成年者がいる場合、親と子どもだけで遺産分割協議ができません。
解決方法としては、裁判所で特別代理人を選任を申立て、特別代理人を含めて遺産分割協議をするということになります。
なぜ、特別代理人の選任が必要なのか?
原則として、未成年者が財産上の法律行為をする場合、親権者が法定代理人となって手続きを行うというルールがあります。
しかし、例えばですが、お父さん、お母さん、子供(15歳)が1人の家庭で、お父さんが亡くなったとします。
15歳は未成年者ですね。
遺産分割協議をするにあたり、お母さんがこの15歳の子どもに代わって協議するとします。
母が子供に代わって話し合いをするとした場合、ちょっと変な感じになると思いませんか?
お母さんが自分の相続分と子供を代理して子供の相続分について、1人で遺産分割協議できめてしまうということになってしまいます。
すると、お母さんが自分の都合のよいように遺産分割をしてしまうことになってしまいますよね?
こういう状況を法律用語で利益相反と言います。
子どもが不利になる可能性があるので、未成年者と親権者であるお母さんの間で利益相反の場合には、親権者に代わって、未成年者の代理人となる特別代理人を選任するルールになっています。
お母さんが、未成年者の子供のために、特別代理人の選任を裁判所に申し立てる手続きが必要になります。
特別代理人選任は誰にするのか?
誰を選任にするかについて特に法律は定めていません。
申立書に「特別代理人候補者」を記載するのですが、そのまま選ばれるケースがほとんどです。
未成年者の祖父母、伯父(叔父)、伯母(叔母)などがなることが多いです。
司法書士や弁護士を代理人にするケースもあります。
特別代理人の申し立て手続きはどのようにするのか?
親権者は必要な書類を用意します。
そして、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所へ選任の申し立てをします。
費用は印紙代800円になります。
必要な書類は、次のとおりです。
↓
(1) 申立書
(2) 標準的な申立添付書類
・未成年者の戸籍謄本
・親権者又は未成年後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料
(遺産分割協議書案,契約書案・抵当権を設定する不動産の登記事項証明書等)
・(利害関係人からの申立ての場合)
利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)等)
(2) 標準的な申立添付書類
・未成年者の戸籍謄本
・親権者又は未成年後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料
(遺産分割協議書案,契約書案・抵当権を設定する不動産の登記事項証明書等)
・(利害関係人からの申立ての場合)
利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)等)
↓
未成年者の相続放棄について
遺産分割協議のお話をしましたが、未成年者である相続人の相続放棄についてもお話したいと思います。
相続放棄については、親が一緒に相続放棄をするかどうかにより、特別代理人を選任の必要があるかどうかが変わります。
親と一緒に放棄する場合
特別代理人を選任は不要です。
親子で一緒に放棄をするので、利益相反にならないからです。
子どもの放棄に関する手続きを親が代わりに行うことができます。
未成年者のみが放棄して親は相続する場合
特別代理人を選任が必要です。
利益相反に該当します。
子どもに放棄させて、自分が相続するといった関係になるからです。
特別代理人を選任して、特別代理人に手続きを行ってもらうことになります。
相続人中に未成年がいても特別代理人の選任が不要なケース
相続放棄について、特別代理人を選任が不要なケースをお話しましたが、
法定相続分どおりに相続する場合には、遺産分割協議は不要になります。
そうすると、特別代理人の選任も不要になります。
不動産であれば、法定相続持分に応じて、母持分2分の1、子持分2分の1で登記するのであれば、特別代理人の選任は必要ありません。
特別代理人の選任なしで遺産分割協議を行うとどうなる?
特別代理人の選任をせずに、親権者が未成年に代わって遺産分割協議を行うと、無権代理行為といい、無効な行為になってしまいます。
無権代理行為については、未成年者が成人後に協議の内容を追認しない限り、無効な行為です。
【参考・税金のはなし】相続人が未成年である場合の相続税が減額される未成年者控除について
相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くという制度があります。
控除される金額は、次の算式で計算します。
(20歳-相続した時の年齢)× 10万円
例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算します。
この場合、20歳までの年数は5年になります。
したがって、未成年者控除額は、10万円×5年で50万円となります。
また、未成年者控除が受けられる人のおおまかな要件は次のとおり。
① 財産の取得時に日本国内に住所があること
② 財産の取得時に20歳未満であること
③ 財産を取得した人が法定相続人であること
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ほかにも悩みがある方、相談先を探したい方は
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