【相続財産多数、手続きがめんどくさい】法定相続情報証明制度の活用

2021年1月23日土曜日

相続について

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【悩み】相続財産多数、手続きがめんどくさい

父親が亡くなりました。

父は東京と横浜、北海道に土地を所有しており、銀行預金も複数持っていました。それら以外にもいくつかの証券会社と取引をしていました。

相続手続きが必要な金融機関等はわかるのですが、あまりにも多く、時間がかかりたいへんです。

相続税申告の手続きも面倒です。

相続手続きがいつになったら終わるのだろう・・・


この記事では、法定相続情報証明制度についてお話します。

この制度は平成29年に始まりましたが、利用する人も増えてきている制度です。

とても便利な制度です。

利用範囲が拡大され、使いやすくなってきていますので、是非みなさんにもこの制度を知っていただき、活用していただけたらと思います。

【回答】【相続財産多数、手続きがめんどくさい】法定相続情報証明制度の活用


亡くなった方の相続財産が多数ある場合には、時間や手間が非常にかかります。

そのため、あらかじめ法務局で法定相続情報証明制度を利用し、「法定相続情報一覧図」を取得ましょう。

時間短縮につながり、便利です。

法定相続情報証明制度とは?メリットとデメリットについて


まず、法定相続情報証明制度とは、相続の手続きに関するものです。

一般的に、相続の手続きに関して必要になるのが、亡くなった人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本です。

なぜなら、銀行や証券会社、保険会社、法務局、郵便局などの手続きで、

相続人が誰であるのかということを証明する必要があるからです。

これが結構大変な作業になります。

よく、最後の戸籍に「いついつ出生」、「いついつ死亡」という記載があるのを見て、

これで、「出生から死亡まで戸籍全部」という方がいらっしゃいますが、そうではありません。

戸籍をよく見るとその戸籍ができた年月日、その戸籍がいつまでの事実を証明しているのか書いてあります。

結婚もしていない、

転籍もしていない、

本籍は動かしていない、

そういった人でも戸籍が複数になっていることもあります。

なぜなら、法律の改正など、役所側の事情によって戸籍が作り変えられることがあるからです。

戸籍を集める作業が大変なのはもちろんですが、

この集めた戸籍謄本をそれぞれ手続きが必要な窓口に提出することを考えたとき、

同時に手続きを進めるためには、

同じ戸籍を何通も取らなくてはならないといった問題があります。

戸籍を何通も同じものを取ろうとすると費用が結構かかります

戸籍を取得するのに、一通450円から750円費用がかかります。

これが複数になると、ちりも積もればで、かなりの費用がかかってしまいます。

それならばと、

提出した戸籍が戻ってくるのを待ってから手続きを進めようとすると、手続きはどんどん遅くなってしまいます。

戸籍を読み解く作業は非常に大変です。

窓口によっては、何時間、何日とかかるでしょう。

どんどん手続きが遅くなってしまいます。

相続手続きは大変と昔から言われていましたが、

相続税など期間制限のある手続きもあるので、戸籍を複数取って手続きを進めるようなケースもありました。

また、不動産の相続を考えた時、不動産の所在地を管轄する法務局ごとに手続きをしなくてはいけません。

不動産の所在地によって管轄の法務局が異なるのです。

例えば、東京、名古屋、北海道に不動産を所有していた場合、それぞれ、東京の法務局、名古屋の法務局、北海道の法務局に手続きをする必要があり、

それぞれの法務局に集めた戸籍を添付書類として提出しなくてはならないのです。

このような問題を解決してくれる制度が法定相続情報証明制度です。

法定相続情報証明制度では集めた戸籍を、まず、全て法務局に提出します。

戸籍に加え、申請書と法定相続情報一覧図というものも提出します。

そうすると、法務局が内容の確認して、法定相続情報一覧図とおりの相続関係に間違いないということを証明してくれます。

実際には、法定相続情報一覧図として提出したものの内容を専用の紙に印刷し、証明文を付して証明書を発行してくれます。

この一覧図が戸籍の束のかわりになります。

一覧図=戸籍の束

ということです。

ちなみに。この法定相続情報証明は再発行や複数枚の発行が可能です。

この制度は平成29年5月29日から始まりました。

制度が始まった当初、法務局や銀行の手続きを対象としており、利用範囲が狭いというところがデメリットとして言われていました。

しかし、その後いろいろなところで使えるようになってきて、平成30年4月1日からは相続税の申告で戸籍を添付する代わりに利用できるようになりました。

また、令和2年10月からは年金の手続き利用できるようになりました。

これからも利用範囲が拡大していくことが予想されます。

(★注意 法定相続情報証明制度を利用できるかどうかについては、事前に各金融機関等に確認しておく必要があります。)

法定相続情報証明制度の注意点について


法定相続情報証明制度の注意点についてです。

法定相続情報証明制度の手続きができる法務局について


どこの法務局にでも提出できるものではありません。

手続きをする法務局は,以下のいずれかです。

・被相続人の本籍地(死亡時の本籍を指します。)
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地

もし、不動産を所有していて相続の登記を申請するのであれば、不動産を管轄する法務局に相続登記の申請と同時に提出するということも考えられます。

法定相続情報証明制度の費用


法定相続情報一覧図発行に際して、法務局に手数料を払う必要はありません。 

法定相続情報一覧図発行は無料で対応してもらえます。

ただし、郵送で手続きをする場合には返信用封筒返信用の切手を用意する必要があります。

法定相続情報証明制度の有効期限


「法定相続情報一覧図の写し」には、法務局側での有効期限などの定めはありません。

しかし、提出先の側で、「法定相続情報一覧図の写し」の有効期限について、 3か月以内に発行されたものや、6か月以内に発行されたものと、 独自に定めている場合もあります。

提出先に確認しましょう。

法定相続情報証明制度の再発行


1回発行してもらったけれど、また別の手続きでも必要になるといったこともあると思います。

そういう時には再発行の手続きもできます。

最初から複数発行するということもできます。

再発行できる期間が決まっていて、5年間になります。

再発行の手続きができる人が決まっていた、一番最初に申し出をした人になります。

例えば、相続人がAさん、Bさん、CさんといたとしてAさんが最初に申し出をしたとします。

5年以内であればAさんは再発行の申し出ができます。

Bさん、Cさんはできませんので気をつけてください。

Bさん、Cさんが必要になった場合には、Aさんにお願いをして再発行してもらいましょう。

法定相続情報証明制度 交付までの期間


交付までの期間は登記所によって異なりますが、数日から数週間かかります。

参考になりますが、東京法務局では不備がない場合には1週間以内に交付されることが多いです。

手続きを急ぐ方はお早めに準備をしましょう。

法定相続情報証明制度が使えないケース


法定相続情報証明制度が使えないケースがあります。

日本国籍は無い方が被相続人、相続人いる場合には利用することができません。

法務局の登記官は戸籍を見てその相続関係が正しいかどうかを判断するからです。

そもそも日本に国籍がないと判断ができないのです。

また、相続放棄をしていることなどは証明できません。

なぜなら相続放棄は裁判所で行う手続きだからです。

つまり、戸籍に記載のないこと、相続放棄の旨や遺産分割協議の結果などは記載されませんので他の書類は別途用意する必要があります。

まとめ


法定相続情報証明制度についてのお話ででした。

この制度は特に相続財産が複数あり、各機関で手続きをしなくてはいけない人にとってメリットのあるものだと思いますので、活用しましょう。

法務局ホームページもご確認ください。
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